君はMorpho
□君はMorpho.Z
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「たとえ記憶喪失だったとしても、リオはリオだよ。俺達の仲間に変わりはない。」
「幸村先輩…」
リオがほっと息を吐いて幸村を見上げる。
幸村は頷いて見せると、部員達に向き合った。
「さぁ、作業始めるよ」
***
「いやぁーん!! リオちゃんが記憶喪失だなんてぇーっ」
「ホンマですか、部長」
四天宝寺のブースでも白石より部員達にリオの報告がされていた。
「俺達のことも一切記憶してへん…。すべて忘れてしもてる」
白石が静かにそう言えば、謙也ががっくりと項垂れた。
「ホンマか…あかん…」
「何があかんのですか、謙也さん」
しかし、財前だけは他とは違う反応を見せていた。
彼はもともと顔に出すような性格ではないが、今回のことを特に気にも留めているようではなかった。
それに感付いた白石は、じっと財前を見る。
「あかんことなんて、なにもないっスわ…」
そう呟いた財前が笑った気がした。
「まぁ、とにかくここで悲しんでても仕方ないやろ。作業終わったら会いに行けばええやん。」
「早く終わらせれば、その分早く会えるけんね」
前向きな部員の言葉に、とりあえず作業が開始された。
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