君はMorpho
□君はMorpho.Z
2ページ/100ページ
記憶のないリオを連れて、幸村は立海ブースに戻ってきた。
「みんな。戻ったよ」
「あっ! リオ!!」
幸村が中に入り、おそるおそるリオもそれに続いた。
目ざとい部員達が駆け寄ってくるのを見て、リオがびくりと肩を震わせた。
「どこ行ってたんだよ、また跡部さんか?」
赤也が近寄ってくるなりそう尋ねた。
それを聞いたリオが瞳を伏せると、幸村がそれを庇うように立ち静かに言った。
「みんなに聞いてほしいことがある。」
***
幸村が事の次第を丁寧に話せば、ほとんどの部員達が絶句していた。
「鉄パイプの下敷きになったのがリオで…」
「その衝撃で記憶喪失…?」
嘘だろぃ、と丸井が呟く。
リオが静かにうつむいた。
「な…なんかドラマみたいな展開っスね…?」
ぽつりと言った赤也の言葉に、琴音が睨みを利かせた。
「ちょっと切原。発言が軽率過ぎよ!」
「しかし…確かに信じがたいことだろう?」
真田が腕を組んで言った。
不安そうに眉を寄せるリオを見て、幸村は静かにその手を握った。
.