君はMorpho
□君はMorpho.X
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(琴音先輩だって、辛くないはずないのに…)
リオは自分が不甲斐ないと感じつつ、大きく頷いた。
幸村の容態は前回に比べ、よくないらしい。
それもあってか、部活内ではピリピリとした空気が漂っていた。
「幸村先輩!」
「ああ、リオ。いらっしゃい」
リオは暇を見つけては幸村の病室を訪れていた。
「幸村、調子はどうだ?」
「あれ? …真田。来てくれたのか」
リオに続いて姿を見せた真田に、幸村は目を見張った。
真田がふっと笑う。
「すまんな。リオと2人がよかっただろう」
「いや…そんなことはないけどね。少し驚いて」
幸村はすぐににこりと笑い、2人を座るように促した。
「真田…俺がいない間、部を頼む」
「ああ…。俺達は必ず勝ち進む。」
「リオも。…部員達が無理しないように見張っててね」
「はい。約束します」
幸村がそれぞれにそう告げると、ゆっくりとベッドに身を沈める。
それを見た真田が静かに席を立った。
「俺は帰ろう。リオ、少し付いててやってくれ」
「はい、わかりました」
真田は微笑むと、病室を出て行った。
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