君はMorpho
□君はMorpho.X
2ページ/104ページ
第20話 関東大会へ
―リオ視点―――
ついに始まる。
運命の関東大会が。
しかし、このとき私達立海テニス部には容赦ない試練が降り注いでいていた。
「幸村なしの、関東大会…か」
険しい表情でそう言ったのは、真田だった。
その横で出場メンバーを書き込んでいたリオの手が止まる。
「リオ…今日中に出さなければ間に合わないぞ…」
「…はい」
柳の言葉にリオは苦しそうに返事をし、再びペンを走らせる。
関東大会出場へ向けて、その用紙に出場メンバーを書かなければならない。
しかし、そのどこの欄にも幸村の名前はなかった。
部長として部員を率いて関東を優勝へ導いてくれるはずの彼の身体は、再び病魔に蝕まれてしまった。
(幸村先輩の名前が…ない)
最後のシングルスの欄に名前を書く。
それから用紙を静かに柳に手渡した。
「…ああ、間違いないな」
柳は目を通すと、それを封筒にしまって部室を出ていく。
それを見送ったリオの肩に、琴音が手を置いた。
「リオちゃん、大丈夫だから元気出して?」
「琴音先輩…」
「あいつなら絶対帰ってくるわよ。」
ぽんぽんと数回叩いて、笑顔を見せる。
.