君はMorpho

□君はMorpho.W
2ページ/90ページ

第16話 合同合宿.5





「―――リオ…」



甘ったるく名前を呼ばれ、リオは体を震わせた。



「好きだ」

「あ…っ」



柳の唇がリオの冷えた肌に押しつけられる。


そして耳元から首筋を唇で刺激された。



「やだ…っ、先ぱ…」



手で柳の肩を押し返す。


混乱していると、肩にあった彼の片手がジャージの襟に触れた。

スルッとジャージを撫でられ、胸の膨らみに触れられた。

びくりと震える体をもう片方の手で押さえられる。


それに抗おうと体を起こそうとしても、力では適わない。



改めて、自分が女で彼が男だと実感させられた。


仲間として一緒にいた彼らは、男性。



リオとは違う。



唇の隙間から覗いた赤い舌で肌を舐められた。



「っ…、嫌ぁ!」





そこから先のことは覚えていない。


無我夢中で柳の体を押し返し、雨に濡れるのにも厭わず走った。

何度も土に足を取られ、息が切れるまで走り続けた。


そして見えてきた宿舎に飛び込む。

足がもつれて床に膝を付くと、涙が溢れてきた。



「どうして…っ」



今まで、こんなことになるなんて考えもしなかった。


男女の関係だってもっと簡単なものを想像していた。



けど、それは違った。



欲が出れば“そういうこと”だってある。







.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ