君はMorpho
□君はMorpho.W
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第16話 合同合宿.5
「―――リオ…」
甘ったるく名前を呼ばれ、リオは体を震わせた。
「好きだ」
「あ…っ」
柳の唇がリオの冷えた肌に押しつけられる。
そして耳元から首筋を唇で刺激された。
「やだ…っ、先ぱ…」
手で柳の肩を押し返す。
混乱していると、肩にあった彼の片手がジャージの襟に触れた。
スルッとジャージを撫でられ、胸の膨らみに触れられた。
びくりと震える体をもう片方の手で押さえられる。
それに抗おうと体を起こそうとしても、力では適わない。
改めて、自分が女で彼が男だと実感させられた。
仲間として一緒にいた彼らは、男性。
リオとは違う。
唇の隙間から覗いた赤い舌で肌を舐められた。
「っ…、嫌ぁ!」
そこから先のことは覚えていない。
無我夢中で柳の体を押し返し、雨に濡れるのにも厭わず走った。
何度も土に足を取られ、息が切れるまで走り続けた。
そして見えてきた宿舎に飛び込む。
足がもつれて床に膝を付くと、涙が溢れてきた。
「どうして…っ」
今まで、こんなことになるなんて考えもしなかった。
男女の関係だってもっと簡単なものを想像していた。
けど、それは違った。
欲が出れば“そういうこと”だってある。
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