君はMorpho
□君はMorpho.2nd
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第1話 おとな
春、新学期。
下ろしたばかりの制服に身を包み、校門を抜ける。
新たに立海大附属高校に進学したリオは、3年前の今頃を思い出して苦笑いする。
ただ、そのときと違うのは学校の何人かが知り合いだというところと。
「リオ!」
「あ、切原くん」
身長も声も3年前とは違う、同級生の切原赤也。
玄関まで迎えにきたのだろう彼は、リオの姿を見つけるなり上履きのまま駆け寄ってきた。
「ラッキーだよな、また同じクラスだなんて」
「うん。妃芽とは離れちゃったし心細かったから、切原くんと同じで嬉しいよ」
ふふっと笑いながらそう告げるリオに、赤也は照れたようにリオから視線を外す。
(よく恥ずかしげもなくそんなこと言えるよな…)
さらりと嬉しい一言を言ってのけるリオに、どことなく懐かしさを感じつつ赤也は階段の先を示す。
教室に向かいながらも2人の会話は続く。
「リオ、髪伸びたよな」
「前よりも長くしたんだ。テニスはもうしないし…。そういう切原くんこそ、背が伸びてて驚いた。声だって低いし」
「そりゃ3年も経つしな。リオはちっさいまんまだ」
「うるさいなぁ」
お互いに笑いながら教室に入ると、見知った何人かのクラスメイトがリオの姿を見つけて近寄ってきた。
「リオちゃんだぁ! 久しぶり!」
「ミクスド優勝おめでとう! ニュース見たよ」
「わぁ、ありがとう」
クラスメイト達と話すリオを見送り、赤也は自分の席に着く。
だらりと席に座っていると、後ろの席から男子生徒が話しかけてきた。
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