時渡の鬼姫

□時渡の鬼姫2
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第13話 Killer of Zaoldyeck
パドキア共和国・デントラ地区。
そこにキルアの自宅があるククルーマウンテンがあるという。
最終試験会場を後にするとその足で飛行船、そして初めての電車というものに乗りツバキはその窓から顔を覗かせる。
風が吹き抜ける先には緑でいっぱいの山々。
その間に見えるのは中でも一段と大きくて高い山だった。
「あれがククルーマウンテン…暗殺一家のアジトがある」
薄暗い雰囲気を纏うその山は、確かに暗殺一家が住んでいると言われても違和感がないくらいだ。
ツバキの脳裏に会場を後にしたときのキルアの寂しそうな背中が鮮明に蘇ってくる。
それはゴンも同じだったようで、彼もまた遠くに見えるククルーマウンテンを静かに見つめていた。

麓の街に着いてどう向かうべきか聞き込みをすることになった。
店を構える人々にククルーマウンテンについて聞くゴン達から少し離れ、ツバキはぼんやりと道に沿って並ぶガラス張りのショーケースを眺めていた。
やはり脳裏を過るのは最終試験でのキルアの無機質な表情だった。
(キルア…)
自分は一体どうしたら、彼を救うことができるのだろうか。
そんなことを考えながら端から順番に視線を向けていくと、洋服が飾られている店が目に留まった。
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