時渡の鬼姫

□銀翼の狩人U
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第11話 翡翠色の瞳






馬車に揺られて数時間、やがて3人は平地に降ろされた。


そこで迎えてくれたのは、背中に2本の剣が描かれたジャケットをまとった訓練兵団の教師達だった。

ツバキ達3人を連れてきた調査兵団の兵士はその場で敬礼をすると静かに頭を下げた。



「キース教官、この度はよろしくお願いします」

「…ああ」



キースと呼ばれたスキンヘッドの長身の男は、じろりと3人を見下ろした。

その後ろにいる教師達は物珍しそうに3人を眺めている。

しかしキースの鋭い眼差しにも負けず、ゴンは笑顔で「こんにちは」と話しかけ、それを見た隣にいたキルアが呆れたようにため息を吐いていた。



「彼らは壁外からやってきた5人のうちの3人です。ここで歴史と立体機動を学ばせてやってください」



調査兵は簡単に事のあらましを伝えると、馬車へと戻って行った。

事前に詳細は伝えてあるのだろう、とツバキはぼんやりと考えながらキースを見上げる。

すると、一瞬だがキースと目が合った。



「ここに来た以上、壁外からの客だろうが何だろうが特別扱いはできん。他の訓練兵と扱いは同じだ」

「いいよ別に。こっちだって特別扱いなんて望んでないし」

「キルア」



敬語を知らないキルアを咎めたのは、苦笑いするゴンだった。



「…付いて来い」



しかしキースは一度目を細めただけで何も言わず、ただそれだけを告げ踵を返した。

3人は互いに頷きあってからキースに続いた。






訓練場にて整列させられた第104期訓練兵達は、それぞれが不思議そうな表情をしつつもただじっとその場に立って教官が現れるのを待っていた。






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