君はMorpho

□君はMorpho.U
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「幸村。あんたのそういう気持ち、何だかわかる?」

「は? 何? 琴音の知ったかぶり」

「クソバカ幸村」

「おまえがな」



琴音は幸村を睨むと、必要事項を用紙に書き込み始めた。

他の皆はリオと丸井の会話に乱入している。


幸村はイライラしながら、肘をついた。





―幸村視点―――



「幸村。あんたのそういう気持ち、何だかわかる?」



琴音のセリフに、ものすごく腹が立った。


『何だかわかる?』

俺の気持ちを琴音は知っている?


冗談じゃない。


俺ですらよくわかんないのにさ。



肘をついて顎を乗せて、横をチラ見する。

ボードにいろいろ書いているリオに、部員が絡みに入っている。


は? 何で弦一郎まで会話に入ってんの? いい度胸だね。

赤也はリオの彼氏疑惑の日からやたらとリオのところにくっついてるし。

蓮二は近県でリオと一緒にいるつもりだし、丸井は…言うまでもない。


仁王はスキンシップ取りすぎ。

その銀髪抜くよ?



…余計イライラしてきた。


ふと視線を感じてそちらを見ると、琴音がニヤッと笑った。



頭にカッと血が上った。








バンッ!!


辺りに大きな音が響く。

机に拳を叩きつけた幸村は、立ち上がって部室の扉を開けた。



「部活始めるよ。」



冷えたその声に答える部員はいなかった。



「幸村先輩…」



リオは不安そうに幸村の背を見つめた。






   ***







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