ChiaRoscuRo

□宗教の勧誘は玄関前で食い止めろ
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「名前っ!」


飛段君が何だか満面の笑みで近寄って来たので、とりあえず一歩退いた。


「えー、何でよけるんだよ」

「何でって……身の危険を感じたから?」

「あ、そうそうそれよりよォー」

「これ以上近寄らないで下さい角都さん呼びマスよ」


地味な攻防を繰り広げたが結局負け、私はいつもの位置、つまり飛段君の膝の上に、半ば強制的に落ち着かされる。



「で、話って何デスか飛段コノヤロー」

「(今、呼び捨てだった……)あのな、ジャシンきょ「結構です

「即答!?」


うん。分かってた。いつか来るとは思ってたけど。




…………勧誘。




「っつーか名前、ジャシン教の事知ってんのか?」

「えぇ、多少知ってますね残念ながら」

「残念って何だよ残念って。まあ、知ってんなら話は早ェ。ジャ「全力でお断り致します

「だから早ェよ答えんのが!!」



誰があんなオカルトチックかつ超物騒な宗教に入信するかっての。
私は時に仏教、時に神道、年に一度はクリスチャンの、典型的日本人だ。



「でもよぉ、マジ最高だぜジャシン様はよぉ」

「聞く気無いんで、良い加減離してくれません?」

「まずジャシン教ってのは、殺戮をモットーとしててだな……」

「聞け!!!」



もう完全に『ジャシン教布教マシーン』と化してしまった飛段君にうんざりしていると、そこに通りかかったのはデイダラ君。

デイちゃんナイスタイミング。



「デイダラ君!助けて下さい!」

「何だ名前、また飛段に捕まってんのか、うん」

「悠長に構えてないで。ほら早く助けて!」

「っつーかお前ら、何やってんだ、うん?」


お前『ら』って言うな。好きでこんな事してるんじゃないし。


「飛段君の布教トークが止まらないんデスよ」

「ああ……恒例行事だ。諦めろ、うん」

「マジでか」



恒例行事って事は、イタチ兄さんとか鮫さんとか、リーダーにも小南ちゃんにもしたのか。ちょっと、いやかなり見てみたかったかも。



「だいたいジャシン教って、とにかく殺戮っていう宗教でしょう?無理デスよー。私、基本は平和主義者ですし」

「「そうなの?」」

「え、何でハモるんですか。そんなに好戦的に見えますか」

「好戦的っつーか、挑発的だよなお前は。うん」


失礼な。ちょっとからかってるだけじゃん。


「そんな事より名前、ジャシン教に入ろうぜぇ」

「そうですね、仮に将来不死身になって、かつ超ドMになりたくなったら考えましょう」

「つまり絶対有り得ないって事だな、うん」

「何でだよー!ジャシン教入ろうぜぇジャシン教!」

「あー耳元で騒がないで下さいやかましい!」



そしてそれから一週間近く(つまり、見かねた角都さんが飛段君に鉄槌を喰らわすまで)私は悪徳な宗教勧誘につき纏われる事となったのだった。




(血生臭き、隣は何をする人ぞ)

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