Liar garden

□Honey・Honey!
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黙り込む私を、高橋くんがじっと見つめる。その視線に堪えきれず、私は無難な返事を返すことにした。

「……悩み中」

そんなこと言って行かないだろうな、と思ったことは内緒だ。軽い人見知りの気がある私は、あまり集団行事に向いてないと思うし。
自分から積極的に関わることが苦手で自己主張も少ない私は自然と一人になることが多くて。
特にそれで困ることもない、と改善しようとしないからますます交友関係は狭くなった。

「そう言って前回の夏合宿も来なかったじゃんか」
「夏は苦手なの」
「あ、でもそんな感じ」

高橋くんがビールを持ってない方の手で私の手を掴んだ。いきなりのことに驚いた私は、何の反応もできずに固まる。

「肌白いもんな。しかも綺麗」

高橋くんの指が私の手の甲を撫でる。しまった。離してもらうタイミングを完全に逃してしまった。
私とは違う指が私の手を優しく握る。その感触に昔の記憶が刺激された。

「っ、」
「あー! 高橋が日和にセクハラしてる!」

反射的に手を引っ込めようとしたら甲高い声が響いた。それからすぐに別の手が私の手を掴む。
それは容赦なく高橋くんの手を私の手から引き剥がした。見れば怒った顔の江梨子の姿が。

「…江梨子」
「日和も嫌だってはっきり言わなきゃ!」
「ひどいなぁ」

ギロリと睨む江梨子に高橋くんが困ったように笑う。私は二人に見えないように、そっと掴まれたところを擦った。
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