「私のずっと愛している人」
□工藤新一への恋
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春。
帝丹高校。
それが私の通う学校。
組織も壊滅して私を纏わりつくものは何一つ無いのに、何もないのに。
たった一つ、ただ一つだけ。
彼がいない、
あの彼がいない。
組織が壊滅したのは寒い冬だった。
解毒剤を完成させたので、江戸川コナンから工藤新一に戻り、私も宮野志保に戻った後、ジョディ先生や赤井さん達と協力し組織に乗り込んだ。
そこまでは計画通りだった。
ジンに会うまでは……
工藤君は必死だった。
工藤君自身を苦しめたジンを相当憎んでいた。
「俺は運が強いんだ。そう、簡単には死なないよ」
彼は、ジンを前にしておびえる私に言った。
「二度目の再会だな、シェリー。今度こそお前の姉のところへ行かせてやるよ」
そうジンは言って、私に銃を向けた。
ここで死ぬのは本望かもしれない、と一瞬思った。
だけど、平穏な日々をまた過ごしたいとも思った。
バーンッ
撃たれたと思った。それなのに目の前には工藤君の姿。
私を抱きしめて倒れ込んだ。
「工藤君ッ」
FBIとジンが銃撃戦をしている間、私は彼を抱えていた。
「工藤君ッ」
横腹からは大量の出血。
「工藤君ッ、しっかりして!今救急車を呼ぶから!」
携帯を握り締め、電話をかけようとした瞬間。
血の付いた手が私の腕をつかむ。
「宮野、外部に漏れたらいけねーんだ。銃撃戦が終わるまで救急車は呼ぶんじゃねーよ」
「でも、あなたがッ」
「俺は大丈夫。簡単には死なねーよ。」
彼は最後まで笑ってた。
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