■過去拍手■

□お正月
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【エース】


「なーなー、お前ワノ国から来たんだろ?」

私がつくったお雑煮を食べながらエースが聞いてくる。

お餅なんか食べたこと無いらしくて
珍しそうに口で伸ばす光景を見るのはもう何十回目だろう。


「そうだけど?」

「じゃああれしよう!初詣!」


「・・・は!?」


何を言い出すのかと思えば。

現在グランドラインど真ん中を航海中のモビーディックの上で初詣?


「初詣って言うのはね、神社に行ってお参りするものなの。

船の上じゃできないよ。」


そう言えば不服そうに唇を尖らせるエース。


「あ、じゃあ着物着てくれよ!!」


ワノ国の文化がお気に召しているらしいエースは普段から色々見せてくれと頼むけど

お正月に着物を着る習慣とかまでどっかで情報を仕入れていたらしい。


「まぁ着物は持ってきてるけど・・・」


ちょっと着付けが面倒だなと思いながらエースを見ると
期待に満ちた太陽の笑顔。


「はぁ・・・わかった着替えるからちょっと待ってて。」


部屋からひとまずエースを追い出して、久しぶりの着物に袖を通す。

体が覚えているらしくて思いのほか着付けはスムーズにできた。

ついでだから髪も結い上げてみる。


「エース出来たよー」


ガチャとドアを開けてみると、そこにはいつのまにか白ひげ海賊団のギャラリーが・・・



「綺麗だなぁ!!」

「やっべ可愛い!!」


そう声を上げる船員の中で、ぽかんと口を開けているエース。


「エースどうしたの?」

声をかけると、はっとしたように目を開いた。


「だぁー!!お前ら散れ!!」


しっしっとギャラリーを追い払ったエースは私を無理矢理部屋へと押し込む。

「ちょっと痛いよー!」


「やっぱ脱げ。」

「えぇ!?」


なんで?と言葉にはせずにあえて表情で不満を訴えてみた。


「可愛すぎて他の奴に見せらんねェ。」



「!」


予想外の発言に、顔が熱くなるのを感じる。


「それに・・・」

言いながら帽子をとってテーブルに起き、近寄ってきたエースはいきなり私をお姫さまだっこした。


「きゃっ」



「したくなった。」


ぼすっとベッドに落とされたと思ったら
上からエースが乗っかってくる。


「新年早々なに言って・・・」


言いかけた言葉は彼の唇に飲み込まれて
息絶え絶えにやっと開放されたのはそれから2時間後だった。


「もぅ、せっかく着たのに。」


ぐちゃぐちゃに皺の寄ってしまった着物をとりあえず肩にかけて整える。

「綺麗だったぜ?」

そう言いながら後ろから抱き着いてきたエースの体温はやっぱりあったかい。


「今年もよろしく」


耳元で囁かれた言葉に
振り向いてキスで応えたら

またベッドに倒された。



----今年もあなたの熱と共に
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