Dream
□手
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私の手を取り、優しく口付けする田島。
「お前、手ぇ冷たくねぇ?」
「そーかな?自分じゃ気付かなかった」
「もしかして…オレに会うの、緊張してる?」
田島は不安気に私の顔を除き込む。
私の胸は、どくり、と、また一つ波打つと、その心地好さに目を細めた。
「田島と会うと、いっつもドキドキする。
手が冷たいのは生まれつきだし、多分。
だから…――――」
私は両手で田島の手を包み込んだ。
「田島が温めてくれるんでしょ?」
「……っ///」
田島はもう我慢出来ないと言わんばかりに、私をもう片手で引き寄せて、唇にキスをする。
「そんな可愛いセリフ、ゲンミツに他の野郎には言っちゃだめだかんな!///」
「私がこんな事言うのもこの世で田島悠一郎ただ一人です」
互いに柔らかく笑い合い、私は田島の胸板に身を任せていた。
尚も手を離さずに。
「田島の手は、すっごく固いね」
以外にも大きな田島の手は、指は、細い様でしっかりと野球の練習の痕が刻まれていた。
こんなにも固い手に成る程、田島は野球が好きなんだと実感する。
幾度となく潰したであろう豆の部分に、今度は私から口付ける。
そんな野球好きな君が、
大好きだから。
end