復活novel
□君と共に(後編)
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「赤ん坊の所へ行くよ。」
奇行の人、リボーンなら何かしら知恵を貸してくれるだろう。
綱吉自身も少なからず、それに期待を寄せていた。
しかし、奇異で奇偉のリボーンでも、こんな奇天烈な望みは叶えられないのではないだろうか…
(“彼”を俺たちみたいに形在るものにするなんて……)
そんな事を雲雀の背中を見ながら考えた。
「……ところで、赤ん坊にはどこへ行けば会えるの?」
「ええ!?雲雀さん先行だったからてっきり知ってるのかと…」
「……………………。」
ごく稀にしかお目にかかれない、風紀委員長様のお茶目っぷりに少し頬の筋肉が弛緩する。
雲雀は相当動揺しているようだ。
「うーん、校内にいるのは確かだと思いますけど…」
校内と言っても、一般生徒を探すのとはわけが違う。彼だけが通れる秘密の通路が多数存在するため、普通に探しても見つかりっこないのだ。
(しかも変装までするからなぁ……分かりやすい変装なら逆に目立つのに…)
すると、後方から自動ドアが作動する時のような機械音が鳴ったので、不思議に思い振り替えると、応接室の天井を構成しているタイルの一面がスライドして、何か黒い物体が落ちてきた。
落下地点を見ると、丁度ソファーの上で黒い物体はどこから取り出したのか、年季の入ったサイフォンでコーヒーをこしらえている。
「リボーン!!!」
「ちゃおっす。」
こんな所にも通路を作っていたのかと唖然とする綱吉を余所に、リボーンは入れたてのコーヒーを口に含む。
ここで細かいツッコミを入れてしまうと、事を荒立ててしまうのでリボーンの開口を待つことにする。
リボーンが空になったカップをローテーブルに置く頃には、綱吉も雲雀も焦燥感が抜けて、向かいのソファーに腰掛けていた。
「話は分かっている。」
「えっ…じゃあ、今までの事天井裏で見てたの…?」
人には見られたくなかった妖しい行いも繰り広げられていたので、リボーンから目を反らして赤面してしまう。
「あぁ、見てたのは事実だが、この件に関してはもっと前からプロジェクトが進んでいる。」
「プロジェクト…?」
この怪現象の説明が省かれたのは嬉しい事だったが、今度はこちらの問う事項が増えた。
「あぁ、ツナには言ってなかったが、こうなることはある程度予測が立っていた。」