復活novel2

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「きょ、極限にそんな事はあり得〜〜ん!!!」


顔を真っ赤にして声を荒げたのは、飲み仲間基、先輩職員基、中等部の体育教師である笹川先生だ。

午後の授業の準備をするため、彼と話が出来る時間は数分と限られている上、回りくどい言い方をすると、伝わらなかったり曲解される可能性を大いに秘めている人物であったため、単刀直入に指輪について話した所、何故かオーバーな反応が返ってきたのだった。


『笹川先生、彼女とかいるんですか?俺の部屋にこんな指輪が……』


……面倒だったとはいえ、直球過ぎたようだ。


「か、か、か、彼女なんて極限にいない!!ましてやす、す、好きな人なんて…!!!」


「そ、そんな力まなくてもっ。この指輪の持ち主でないならいいんです…。じゃあ授業の準備があるので…」


どうどうと宥めつつフェードアウトする俺。

ただ単に恋愛事に奥手なのか、それとも図星をつかれたのか…

相変わらず掴み所の定まらない笹川先生に背を向けて、俺はグラウンドを目指した。


「極限に違うからなー!!」


はは、まだ言ってる…


────後日、「折り入って相談が…」と恋愛相談を受けるはめになるのだが………、それはまだまだ先のお話。─────



午後は持久走だ。寒空の下、幾度もグラウンドを走らされて忍耐強くなったのか、はたまた諦めが付いたのか、生徒からのブーイングも下火になり、授業はスムーズに行われるようになっていた。

そういや、最後のクラスは獄寺の所か…


今日も授業に出てくれないのだろうか。
この前屋上で俺は想いを吐き出した。獄寺の中で何か変化があるといいんだけど。


「……でも、結局怪我させちまっただけだよな…」


もう一度向き合える機会はないか、いろいろと考えを巡らしてはみたものの、良案など思いつかなかった。

───────────


授業は滞りなく進行し、本日の業務は終了した。


獄寺は、やはり来なかった。


来月辺りから体育祭の練習がカリキュラムに組み込まれていたはずだ。放課後か早朝に補習授業として参加させれば単位は何とかなるはず…

何としても来月までには解決させたい課題だ。

しかし、獄寺は耳を貸さないだろう。本人に直接言っても糠に釘状態。

八方塞がりだった俺の脳裏に、ふとある人物が過った。

長髪を後ろで一まとめに結った、オッドアイの男。
獄寺のクラスの担任の名は、確か六道骸。
真面目は真面目だが、少し取っ付きにくい独特のオーラを漂わせている数学教師で、5つ程年上だったと記憶している。

外壁から固める…ではないが、一度六道先生にも話を通しておいた方がいいかもしれない。


「放課後辺りに声掛けてみるか…」


グラウンドの片付けをし、職員室に戻る際、中庭を通った。中等部と高等部の校舎の狭間にある緑豊な庭…だと思って足を運んだが、夏の残留物が所々枯葉と化して土を覆っているような、何とももの悲しい風景がそこにあった。

そう言えば、草や木や花に気を留めるような余裕などずっとなかったな…。

教師とはなんとゆとりのない職業なのだと、ため息をつきたくなった。
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