復活novel2
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その影は徐々に形を明確にし、巨大なヤリイカだと気付いた時にはその触腕で両手は拘束されていた。
「………!?」
「幻術の応用編です。現実にあるものを忠実に映し出し、幾らか拡大し、動かす……。とても難しい技ですが、綱吉くんにはここまで出来るようになって頂きます。」
巨大なヤリイカはソファーに綱吉を縫い付けるかのようにして長い触腕を絡め動きを封じると共に、既に乱された衣服の中へと侵入する。
たくし上げられた上着の中…
ファスナーの下ろされたズボンの中…
そして……
「お楽しみはこれからです。」
骸は不適な笑みを零しながら、ピンク色をしたボトルを逆さまにして、多量のアロマオイルをヤリイカの触腕に垂らす。
薄ピンク色のアロマオイルはヤリイカの触腕を伝い、綱吉のボクサーパンツの中へと入り込む…
「ぁっ……いやだ……この匂い……」
骸と繋がる時の匂いだ。
嗅覚ももう言うことを聞かない。何もかも骸に支配されていくのが分かる。
「少し触腕を動かして見ましょうか…」
美しいオッドアイが細められ、綱吉の肌に絡み付いている触腕がヌメヌメと蠢き始めた。
胸の突起は吸盤に包み込まれて、きゅぅっと吸われた瞬間、甘い電流が身体中を駆け巡った。
「ァァッ……!」
「クフフ…こんな風に器用に動かすことも可能なんですよ。」
この後、綱吉の性感を熟知している骸の術をもって、幾度となく天国へと導かれた。
自由はなく、ただ好いようにされていただけなのに、新しい世界を見出だせたような、そんな恍惚とした時間に長いこと浸っていた気がする。
この度のセックスはめちゃくちゃ好かった…と、身体がバカ正直に反応して、骸を満足させたようだ。
そして重い腰に鞭打って、何とかダイニングテーブルセットの椅子に座った所で夕飯が運ばれてきた。
「…………食欲ない。」
綱吉が不平を溢してそっぽ向いてしまうのも無理はない。並べられた白い食器にはイカとタコが乱切りされたパスタがこんもりと盛り付けられていたのだから…
極め付けが骸のこの一言。
「演習で軟体動物を使おうと思いまして、タコとイカどちらにするか迷ったのですが、脚の数が多い方がより楽しめそうでしたので。」
悪怯れもなく話す骸に怒気を感じつつも、新たな悦びを知ってしまったこの身体では何を言っても微塵の説得力もないだろうから、綱吉はただ黙ってパスタを腹に収めた。