復活novel2
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※ちょっとHです。
「骸…………」
出来るだけ艶っぽくなるように呟いて骸の腰にまたがると、彼は怪訝な面持ちで本を閉じた。
「……どうしました?」
演習中である事を暗に咎めているようだ。
「あのさ……したいんだけど…」
「何をです?」
「そ、その……………………………エッチが…」
そこまで言うと、骸は目を見開いたまま沈黙した。
まさか、あの綱吉からこんなタイミングでお誘いがあるなんて、流石の指導者様も予測出来なかったようだ。
勿論、この一連の動作は骸を動揺させる為のものだったのだが、…………骸を驚かす事は出来たものの、幻術が揺らぐ程の効果は得られなかった。
(……これくらいじゃダメか…)
物凄く不本意だが、謎の罰則を受けるより幾らかましだ。
それに、純粋に骸を出し抜きたいという思いもある。
「さっき、骸が変な事言うから、そんな気分になった。」
「つな……んっ…」
やや強引に骸の唇を奪い、舌を絡めた。
「…はっ……んっ…」
「……おや、いつになく積極的ですね…。」
「ダメ?」
「い、いえ…。ですが今は…」
骸が押されている。形勢は綱吉に有利なようだ。
もう少し…と、吐息混じりの声で骸の鼓膜を刺激する。
「俺、もう我慢出来ない…」
更に動揺を与えようと、おずおずと骸の股間に手を伸ばし、グッと中心を掴む。
「!!!!」
ビクッと骸の肩が震え、ほんの一瞬緊張の糸が解れたような、そんな不思議な感覚を覚えた。
更に意識をイカに集中させると、綱吉が先程手にしていた方のイカから、微量だが骸の意識を感じ取ることが出来た。
とても奇妙な感覚だ。骸の支配から逃れられたその一瞬の間、まるでイカが骸と同じ気を発していたように感じた。
これが有幻覚なのだろうか。
それともただの幻覚…?
それなりの時間を掛けて、幻覚の理論を学んだはずなのに、いざ目にすると理論等通用しない奇術でしかない。
視覚、味覚、触覚、嗅覚、聴覚……全てが支配される状態というのは即ちイカが実在していたと言えるのだろうか。
(だとしたら俺は何もない空間を掴み、味わい、この上なくリアルな触覚に嫌悪していたということになるけど……)
支配されていたとはいえ、五感の指し示す物はあまりにもリアルなものであった。現実と幻覚の線引きが困難に思え、考えれば考える程、深みにはまっていく。
(………考えるのは後だ。)
とにかく今は時間がない。綱吉は執拗に追いかけてくる舌をチュッと吸い、唇を離した。
どちらのものともつかない唾液で濡れた唇を袖で拭い、恍惚とした感覚に溺れる前に素に戻る。
「さっきまで俺が手にしていたイカが、幻覚だ。」
「……え?」
淫靡な空気に浸っていた骸だったが、勝者の輝きを放つ綱吉の視線とぶつかり、ハッと我に返った。