復活novel2
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※ちょっと下ネタ入ります
罰則って何だ……
おかしな重圧を背負わされての実習となったわけだが、当然集中など出来るはずもなく、難しい表情でヤリイカと睨み合ったまま時間は過ぎていく。
だが、それを不服としたのは綱吉ばかりではなく、何とこの状況をもたらした骸も、ため息をこぼして不満を示した。
「し、仕方ないだろ!骸が変な事言うから!」
「全く…。これしきの事で動揺しないで下さい。それに視覚のみで本質を見極めようとするなんて、僕も見くびられたものですね。」
含みのある言葉を最後とし、骸は沈黙を決め込んだようだ。
読みかけの小説を片手にソファーに腰掛け、姿勢を崩す。
「なっ……」
綱吉に見込みがなかったと悟り、指導を放棄したのだろうか。
一連の言動は正にそうのように判断出来る。
だが、タッパーのイカは2杯とも健在なので、ただ単に綱吉を煽っただけとも取れる。ここは骸の真意を探るのが正解のようだ。
『視覚のみで本質を見極めようとするなんて、僕も見くびられたものですね…』
視覚のみで…
(幻術とは相手の五感全てを操作するもので、俺の五感は今骸に支配されている状態なんだ…)
視覚のみで見極めるなんて不可能。なのに、さっきから対象をためつすがめつして見ていただけだった…
骸の設けた罰則に気を取られて、大原則が抜け落ちていたなんて、とんだ失態だ。
五感全てを使い、その存在の違いを見いださなければならないのに…
それに気付くやいなや、綱吉は失った数分を取り戻そうと、両手でそれぞれのイカを掴み、感触を確かめる。
しかし、手のひらに神経を集中させ、先端からゲソの先まで触れてみたが、どちらもやはりイカでしかない。
ぶにょぶにょしてぬるりとした感触は、どちらかと言うと不快であるため、両腕はぞわりと粟立っている。
「綱吉くん、そんな触り方じゃ不合格ですよ。」
「……?」
残り3分なのにもたもたしている綱吉に痺れを切らしたのか、外野にはけたはずの指導者様が声を掛けてきた。
「どちらか片方を両手で握って下さい。」
「……………。」
比べて相違点を探るのなら、2杯同時に触れる方が効率的だと思っていた綱吉だが、時間がないので取り敢えず骸の助け船らしい言葉に従った。
向かって右側のイカを両手で握り、骸に視線を送る。
すると、文庫本からちらりと覗かせたオッドアイが何やら意図して細められ、次の指示が出された。