SSU

happiness
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※大学生×高校生





風呂やキッチンは共同だが、8畳の二つの部屋には鍵が付いていて、各々のプライバシーは守られている。そんな間取りのルームシェア用の物件に、二人の男が住んでいた。

片や大学生、片や高校生というミスマッチな構成だが、学園都市に建設されたアパートではさほど珍しい事ではない。
春からそれぞれ新しい学舎で勉学に励む為に越してきたのだが、誰でもシェア出来るわけではなく、同室になる者同士の面談がある。
つまり、プライバシーはある程度守られているにしろ、一つ同じ屋根の下で過ごさなければならない。快適な生活を送るには、同室相手との相性が鍵になるので、たかが面談、されど面談なのだ。

当初、同室相手は高校生だと聞かされていた雲雀は、億劫な心地でいた。

一人で使用出来ると聞いていたのに、大家の手違いでこのような事態になったのだ。相手の入居手続きは既に終え、後は面談を待つだけなのだと言う。
気の合う人間かもしれないし、おまけに一台しかないテレビを二台にすると条件をちらつかせて頭を下げられてはもう仕方がない。

会うだけ会おうと返事をし、億劫な気持ちを引きずったまま面談当日を迎えた。

あれは大誤算だったと、思い出す度に笑いが込み上げる。
一目惚れなんて信じていなかったのに、あの時その青年に何もかも奪われてしまった…





「雲雀さん、雲雀さんってば!」


「……え?何?」


いつの間にか一年前の出来事に思いを馳せていたらしい。
隣で綱吉が心配そうにこちらを見ていた。


「映画、面白くなかったですか?」


動体視力を試される、カーアクションが主体の映像ばかりで疲れてしまい、ついつい別の事に意識を投げ出してしまっていた。今液晶画面はスタッフロールがゆったりと流れている。


出会ってからの雲雀のアプローチは強引と呼べる程凄かった。色恋に奥手な綱吉だったが、それでも一週間もすればそれぞれの部屋の鍵は常に解錠された状態になり、やがて雲雀の部屋は二人の寝室に、綱吉の部屋は勉強部屋にまとめられた。

知り合って間もない相手と恋仲になった事に抵抗があったのか、当初はぎこちない恋愛ごっこのような間柄だった。
強引に事を進めた雲雀自身も、初めて芽生えた独占欲、庇護欲の扱いが分からずに戸惑っていたのもあって、このようにソファーで二人寄り添って映画鑑賞をするような、一般的な恋人同士の図になるには実に一年という時を有した。
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