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「も、もう一口……」
喉の渇きは癒えたのに、また別の欲が綱吉の中に芽生え、再度そば茶をねだる。
雲雀はもう一度飴色の冷水を口に含み、綱吉の唇に持っていった。
「んっ……んくっ……」
コクコクと喉を鳴らせば火照った身体の真ん中を一筋の冷水が流れていく…
しかし、その感覚よりも遥かに雲雀との口付けの方が心地よく感じる。
そば茶を飲み干しても綱吉は雲雀の唇を欲して、離そうとしない。
それどころか綱吉は、そろりと自らの舌先を雲雀の口内に忍ばせ、深い口付けを望んだ。
奥手な綱吉が珍しく、積極的に雲雀の唇を吸う。
下唇をちゅうっと吸って、歯列をなぞる舌を追い掛けた。
「んっ……はっ……ぁっ」
小さく喘ぎながら、雲雀が着ている濃紺の浴衣の合わせをぎゅっと掴んだ。
麻布のさらりとした手触りだ。
雲雀の邸宅での服装は、和服の略装である浴衣を着るのが常だったりする。
それは情事が行われて着替えが必要になる時ばかりでなく、邸宅に上がってまず着付けてもらう事の方が多い。(今回は前者であるが…)
初めはこの由緒ある邸の家訓か何かに基づいているのだろうかと、ただ言われるがままに袖を通していたのだが、後から聞いた話「僕の和服を着付けた綱吉は……ぐっとクルから。」という雲雀の利己的なご意見で、毎度和服を着付けられていたらしい。
ぐっとクル、という物の感じ方には異存はない。綱吉としても、凛々しい恋人の和服姿は目の保養である以上の働きがあると感じている。
例えば今のように、お互い浴衣を着付けて深い口付けを交わしていると、簡単に淫らな欲に火が点く……そんな作用があるのだ。
雲雀は綱吉の甘い舌を吸いながら、つい条件反射に帯を解いて、ふわりと開いた合わせの中に手を忍ばせる。
「ぁっ……雲雀さん、今日はもう……」
逆上せて倒れた身体にはまだ休養が必要であるからして、綱吉はやんわりと雲雀の手を拒んだ。
「………うん……でも、煽ったのは綱吉だからね。」
綱吉からの口付けがもたらした結果だと言わんばかりに、雲雀は腕の中の恋人をゆっくりと布団に沈めた。
「ぁ、あのっ…ですから…今日はもうダメですってば…」
「分かってる…」何て言いながら、雲雀は綱吉の首筋に顔を埋め、舌を這わす。