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□罪名
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光源は朗々とした月明かりのみ。
薄い闇の中で、妖しく綱吉が囁く…
「あっ……雲雀さん、もっと奥に……」
「……こう?」
二人の影は、一つに重なり、微量に蠢いていた。
「んっ…!そこ、もうちょっと強く…」
「……そんなに強くして大丈夫なの?」
「はい……あっ、気持ちいい……」
あまりに艶のある声に、思わず雲雀は押し黙った。
「………………………」
「んんっ、ん〜〜〜っ」
「………………………」
尚もおかしな声を上げる恋人。
雲雀は手を止め、尋ねずにはいられない一言を発する。
「…ねえ、綱吉。今僕は君に耳掻きをしてあげているんだよね?」
「…?そうですけど?」
さんざん妖艶な声で煽っておいて、さらりと答える綱吉がにくい。
天然の成せる技なのだろうか。
雲雀はため息をついて、手にしていた耳掻き棒を傍らに置いてある小物入れにしまうと、綱吉の頭が乗っている胡坐を崩した。
「わっ!」
急に枕を無くした綱吉は、下に敷いてある布団に転がされてしまった。
「まったく、無意識もここまで度が過ぎると質が悪い…。お仕置きしないとね。」
「え?…ええ!?」
自ら犯した罪の名前も分からないまま、豹変する雲雀にあらがえず、そのまま両手を頭の上で拘束されてしまった。
「もっと好い声で鳴きなよ…」
雲雀は切れ長の瞳を細め、意地悪く微笑んだ。
2010.05.12