チュンチュン…
雀の鳴き声が、夜明けを知らせている。
そんな爽やかな朝に相反して、綱吉は苦渋の表情を浮かべて寝ていた。
重い…
暑い……
寝苦しさに耐えかねて開眼すると、驚いた。
骸の美顔がすぐ傍まで迫っていたのだ。
「なっ!!」
「おや…残念。」
どうやら無防備な綱吉の唇を奪おうとしていたらしい。
「…ったく、油断も隙もないな。」
頬が熱くなるのを感じ、ぶっきらぼうに言い放つ。
「綱吉くんが隙だらけなんですよ。」
骸の言葉にムッとしていると、彼はフッと笑った。
その吐息が唇に掛かって、どきりとした。
心臓が騒ついて落ち着かないので、早くどけと目で訴えたが、全く退く気配がない。
それどころか不適な笑みを浮かべてこちらを見下ろしている。
「…せっかくですから、頂いておきますね。」
「…え?……んんっ!」
結局、柔らかな唇が降りてきて、綱吉のそれを塞いだ。
そんな早朝の出来事だった。
2010.05.11