復活novel

もう一度愛して…
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どうしてこうなってしまったのだろう……


綱吉は自室のベッドの上で膝を抱え、呆然としていた。
目の前にはスクールバックが無造作に置かれている。学校から帰り、この状態が一時間程続いていた。


「雲雀さん………」


恋人の名前を口にしたとたん、涙腺が機能しなくなったかのように、とめどなく涙が溢れてきた。

綱吉はその涙を拭うことなく、膝を抱えていた腕に力を入れるだけだった。

何が彼を変えてしまったのだろう…
先日までは彼は綱吉に甘い恋人だったのに…

考えることはそればかり。
綱吉は先日のことを振り返った。


───────


温泉旅行での約束通り、学校での情事を控える事にした二人は、放課後の応接室で、今後どこで情事を行うか相談していた。

候補にあがったのはやはり綱吉の部屋か雲雀の部屋だった。
だか綱吉の部屋となると、住人が多いという事と、綱吉の部屋へ入るのは今やその住人達の勝手次第になっており、予期せぬ来客が次々に現われるため、どちらかというと避けたい選択肢であった。

その旨を伝えると、「じゃあ僕の部屋においで」と、優しく恋人は笑った。

雲雀は一人暮らしをしていて、初めからそうすれば良かった等と二人で話していた。

暖かい季節とは裏腹に、冬枯れした並盛商店街を抜けた所で待ち合わせをして別れた。

綱吉は一度家に帰り、家族に帰宅が遅くなることを告げてから待ち合わせ場所へ向かった。

普段着に小さめのボストンバックを肩から下げて、ドキドキ、そわそわ落ち着かない。
何を持って来るか迷った結果、戸棚にあったスナック菓子を詰め込んだ。雲雀の好みが分からず、とりあえず辛いものと、甘いもの両方を入れたので、それだけでバックがいっぱいになる。
着替えの下着だけは迷わず入れた。
きっと、いや、間違いなく使用することになるだろう…

そんな事を考えながら頬を赤く染めて恋人を待った。
商店街を見るとその並木に電飾が施されていたり、季節の先端を行くブティックにはクリスマスの装飾がされていたり、華やかな装いだが、この寒さで客足はあまりない。

人が少なくて見通しが良いので、あえて探す必要はないが、キョロキョロと忙しく恋人を探してしまう。

動きを止めて、待つ作業はどんどん体温が奪われていくようで、足や腕を摩擦した。
肌を刺すような外気だ。
でも、そんな時間だって楽しめるのだから、恋とは不思議な魔法だと思う。



どれ程待ったのだろう。
並木の電飾が灯り、帰宅時間になったのか、サラリーマン風の男達が疲れた顔をして商店街を通り過ぎていった。
ラッシュの後、数組の恋人達が寄り添いながら並木の電飾を鑑賞しに来ていた。



その日、綱吉の恋人は姿を見せなかった。
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