復活novel
□湯煙大作戦
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雲雀は応接室に入ってきた人物が綱吉でないことが分かると、とたんに眉をひそめた。
入ってきたのは山本だった。
山本は入るなり、両手を前で合わせて言った。
「雲雀、ツナを一日貸してくれ!」
「何考えてんの?咬み殺すよ?」
羽織っている学ランの影から金属製のものがキラリと光った。
「ま、待てよ。ツナを一日温泉に連れて行きたいだけなんだってっ」
「尚悪いよ。言いたいことはそれだけ?」
雲雀の瞳に殺気の炎がともる。山本は慌てて止める。単刀直入に言い過ぎて全く話が通じていない。
「だからちょっとタンマ!雲雀にとっても悪い話じゃないからさっ」
この野球バカは何を言ってるんだと訝しげに睨むが、恋人の名前を出されて、悪い話ではない…と言われると最後まで聞きたくなる。
「…チャンスをあげる。でもくだらない話だったらひどいよ?」
山本の話は恋人である獄寺と体の関係を持ちたいというところから始まった。
キスやスキンシップの許しを得てからまた一月経っていた。
体を繋げたいという欲はめきめきと頭角を現し、そろそろ我慢も限界だ。
しかし、獄寺のゴウサインがでないとしない約束なので未だに手を出せずにいる。
山本なりに、相手からしたいと言わせる作戦を練った。
綱吉に体を繋ぐ素晴らしさを獄寺に語ってもらおうというものだ。綱吉の言うことならかなり有効だ。
きっと獄寺もしたいと言いだすだろう…という内容だ。
「で、僕にとって良いことが全く見当たらないんだけど…そんなくだらない事で綱吉を巻き込まないでくれる?」
雲雀にとってどうでもいい話を長々とされ、うんざりする。
「雲雀、分かんねーか?獄寺と二人きりで話すってことは、それぞれの彼氏事情を話すってことだぜ?」
「……………」
山本はニカっと笑う。
「最近ツナとご無沙汰だそうだな?」
「……!」
山本の言うとおり、綱吉は最近体を繋ぐことを嫌がる。無理強いするつもりはないが、少し気になっていた。
「ツナの悩みとかも聞けるかもなっ」
悪徳業者さながらの笑顔で誘う。
普段なら聞き流す雲雀だが、綱吉のこととなると別だ。
「いつ?綱吉を連れてくなら僕も行く。」
「ほんとか!?じゃあさ、ダブルデートってことにしようぜっ」
こうして期間限定の協同作戦が決行されるのであった。