復活novel
□キスの総数
1ページ/5ページ
獄寺とキスをした。
強引なキス
反則のキス
放課後俺からのキスと
あいつからのキス……
四回キスした。
あれから一ヶ月。
キスの総数は四のまま。
山本は悩んでいた。
おかしい…付き合い始めて一ヶ月の節目を迎える恋人同士なら、手と手を取り合って、大人の階段を一緒にのぼってもいい……と思う。
ところが、今の自分はキスどころかちょっとしたスキンシップさえ取れない。
この状況は何だ。
(倦怠期…?)
なんて思ってみるが、それより状況は悪い。
そもそも恋人同士に成りえているのだろうか…
山本は空を仰ぎ見た。
雲一つない秋晴れの空。
ガジャン
フェンスに背中を預けて回想する。
いつものように屋上で、山本は獄寺と綱吉の三人で昼食を取っていた。
綱吉は放送で雲雀に呼び出され、いそいそと応接室に向かった。
雲雀と付き合い始めたらしい。
五限目、大抵キスマークを見えそうで見えない、ギリギリのところに付けて戻ってくるが、何があったかなんて野暮なことは聞かない…
綱吉がいなくなって、獄寺と二人きりになれるはずだが、どういう訳か、獄寺までいなくなる。
理由は様々だ。
トイレと言って戻ってこなかったり、煙草と言って戻ってこなかったり……
(今日は読みかけの本を読んでしまいたい…だったっけ…)
理由が日に日に煩雑になっていることから、自ら避けていると分かる。
こんなことが一ヶ月続いている。
いくら温厚な山本でも一ヶ月という長いスパンはさすがに堪える。
(でも…部活が終わるまで待ってはくれるんだよな…)
ただし、歩くとき、会話するとき…何をするときも一定の距離を保ったまま…
「今日辺り聞いてみっかな…」
山本が腰をあげると予鈴が鳴った。