復活novel
□君に触れていたい
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騒然となったのは放課後の教室。
クラスメイトから注目を浴びているのは沢田綱吉だった。
ある者は、御愁傷様と哀れみ、ある者は、お前何やったんだよと茶化す。
先ほど、綱吉は校内放送で風紀委員に呼び出されたのだった。
しかし一番驚いているのは綱吉自身である。
いったいいつ風紀を乱したのか皆目見当が付かない。風紀委員に目を付けられるほど群れた覚えもない。
(まさか…毎日雲雀さんのこと見てたのがバレた…!?)
要因として考えられるのはこれしかない。ただ見ていただけなのに呼び出しを食らうのは理不尽極まりないが、群れているだけで機嫌を損ねてしまう相手である。動機としては充分だ。
「十代目、そんなの無視しましょうよ!」
「い、いや。そんなことしたらもっとこじれて大変なことになっちゃうよ。それに呼び出されただけで、用件まだ分かんないし。」
殴られると決まった訳ではない…と一縷の期待に賭ける。
獄寺は一緒に行くと言い張ったが、群れて行くほうが問題である。
綱吉は大丈夫と言って、振り切るようにして応接室に向かった。
(こんな形で雲雀さんに会いたくなかった…)
応接室のドアを見つめる。この向こう側に雲雀がいると思うと、嬉しいような、怖いような…悲しいような…
所詮勘違いから生まれた悲しい恋心である。
(どうせぼこぼこにされるんなら、思い切って告白してみようかな……なんてね)
トンファーを構えた雲雀の前でそんな余裕は微塵もないはずだ。
綱吉は大きく深呼吸して、渦巻く感情を取り払った。
コンコン…
ノックをして返事を待つ。
「入りなよ。」
深呼吸の効果はどこへやら。
久々に耳にする雲雀の声に心臓が大きく脈打った。