復活novel
□平行視線 Side・A
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「寒っ…」
綱吉はブルっと震え、手をクロスさせて両腕を摩擦した。
綱吉の席はグランド側の窓際で、その窓が換気の為開けられていた。
今は二限の休み時間である。
休み時間なのだから、窓から離れれば良いのだが、そうしない理由があった。
雲雀恭弥がグラウンドの隅を歩いている。
綱吉は授業中だろうが、休み時間であろうが、雲雀が現われると目で追うようになった。
最近ではそれが原因で、学校行事においてダメツナぶりに拍車がかかっている。
つい先程も、一限目でチョークを投げられたばかりである。
いつからこんな状態が続いているかと言うと、十日程前に行った修行からだ。
骸の幻術が使われた修行であった。
その最中に、雲雀に唇を奪われた…
いや、骸を出現させるための手段として唇を合わせてきたのだ。
他意はない…
雲雀には───
でも、綱吉には意味があった。その時、唇だけではなく、心まで奪われてしまったのだから…
「はぁ……」
この気持ちが何なのか、綱吉にだってもう分かっている。
でも、こんなにあの腕が、あの唇が恋しいのは寒さのせいだ…と他にも要因を探してしまう。
だって、誤解から生まれた片想いだから。
この視線が交わることがないのだから……
チャイムが休み時間の終了を告げる。
綱吉は今度こそ黒板に目をやり、授業に集中しようと誓うのであった。