復活novel2

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食事を終えても、軟体動物が頭から離れない。
それどころか、リアルな触腕の感触が忘れられず、今でも鳥肌が治まらない…。
今回は不純な動機で味わった感覚だったが、これが実戦となると…、考えれば恐ろしい。


「幻覚って凄いんだな…」


「もう通常のセックスじゃ満足出来ないかもしれませんね。」


「もう!茶化すなよ。実戦で幻術師に遭遇したくないって話!」


ほんのちょっと、頭の隅っこで懸念していた事は事実だが、勿論綱吉の心にそっと収めておく。

さっさと話題の変革に取り組まなくてはいつまで経ってもセクハラされたままだ。


「今回のって有幻覚?」


あれだけリアルに再現されたイカだ。五感を操作されていただけだなんて納得がいかない。

せめて、上級術である有幻覚で惑わされたのだとしておきたい所だ。


だが、骸は笑顔を見せて、ポツリと呟いただけ。


「幻術…。古来から存在していた能力ですが、この時代に新たな局面を見せてくれる…」


「…………?」


綱吉の質問は宙を舞い、何処かへ行ってしまった。

穏やかで、曖昧な空気の中、骸は優しく綱吉に微笑み掛けるのみ。


(まただ………)


聞いてはいけない。

タブーを口にして、やんわりと拒絶されるような…


骸が遠くに感じて不安になる。


怖い。


骸と離れたくない。


だから………


「明日の演習はもっと身近なものでやってよ。鉛筆とか…そう、このフォークとか。」


「そうですね。考慮しておきます。」


お互いに表情を取り繕って、日常を送るのだ。






惑わされて END
2011.03.17

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