復活novel

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おずおずと骸の浴衣を留めてある帯に手を掛けて、するりと解く。

ふわっと合わせが開いて、骸の胸元が顕になると、そこへ頬を寄せて手を這わした。


『俺とセックスしろ──』


リボーンの声がその時何故か脳裏をかすめた。

骸以外の男と肌を合わせるなんて御免だと、不快感を思い出す。無遠慮に身体をまさぐる大きな手…

威圧感そのものだった。

それと比べれば骸の手は優愛そのものである。思いやりがあって、安心感を与えてくれる存在。

しかし、何か見逃しているような決定的な事実が含まれていた事に、綱吉はまだ気付いていない。

リボーンが示した行動の真意など、野外で羞恥に曝されればほんの些細な違和感でしかなかった。

綱吉は不快感を振り切って、胸板に舌を這わす。

初めは羞恥心が先行していたが、その行為を繰り返すことで、徐々に恋人の肌がいとおしく思えてくる。

ゆっくりと腰を落とし、下半身へと頭部を移動して、ついに中心部に辿り着いた。

綱吉はごくりと喉を鳴らし、下着越しに感じる猛った欲望に唇を寄せた…


今ならどんな無体な欲求にだって甘んじて応じられるだろう。

お互いに不安を抱え、空虚な心を埋めるには、やはり交わりお互いを感じる他ないのだ。


綱吉が幻想を抱いた理想的な月夜ではなかったけれど、闇夜を裂くようにコウコウと照る欠けた月と夏草の騒めきを感じながら、恋人に愛を提示した、そんな夜だった。





夏の宿にて END

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