乱れし華

□わらわの宝物
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「……」
「お嬢ちゃん、もうあきらめたら…」
「ならぬ!必ず見つけると誓ったのじゃ!」


日が暮れてきたのう…。
夕日が綺麗じゃ。

って夕日など見ている場合ではない!!


「どこじゃ…」
「……」


ここにはないみたいじゃのう。
反対側の草むらに行ってみるぞ。


わらわが反対側に行こうとした時、孫がいきなりわらわの腕を掴んだ。


「…孫?」
「俺があげたものを必死で探してくれるのはありがたいんだけどよ…。
もういいだろう?」
「いやじゃ!
わらわは必ず見つけだす!!
それまで帰らぬ!」


こうなったら意地じゃ。
意地を見せるのじゃ。


「…なんでそんなに必死なんだ?」
「決まっておろう。孫がくれたものは全部わらわの宝物じゃ」
「……」


わらわがそう言った途端、孫が腕を放してくれた。


「お嬢ちゃんには負けた。
俺も探すぜ」
「孫…!」


やはり孫は優しいのう。

孫はしゃがんでわらわと同じように草むらの中を探した。


わらわも早く見つけだすのじゃ!















「あった!!」


わらわが転んだ5メートルくらい先の木の下にガラス玉はあった。

随分飛んでいたのじゃな。


「よかったな。」
「孫、ありがとうなのじゃ!」
「俺は何にもしてないぜ?」
「何を言っておる!孫も一緒に探してくれたではないか」


少し土で汚れてしまったが、はらえば問題ないのじゃ。


「お嬢ちゃん」
「む?」
「じっとしてな。顔に土ついてる」


孫はそう言うと、わらわの頬を指で拭ってくれた。

なんだか照れるのう…。


「とれたぜ」
「ありがと、なのじゃ」


なんだか照れくさくなって下を向いた。


「そろそろ帰るぜ」


孫はすたすたと先へ行ってしまった。


「孫!待つのじゃ!!」








孫がくれたものは全部、宝物じゃ。

このガラス玉も、孫の笑顔も…。











ーfinー
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