封鬼委員会

□出会い
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「…そうですか…。でしたら…」
曽良はゆっくりと武器を構えた。
「死んでください」
そう言った瞬間、彼は鬼に向かって暗器を投げつけた。
しかし、それは物凄いスピードで避けられてしまう。
《おかしい…。何時もの奴と違う…?》
今、自分達を襲っている鬼は曽良が幼い頃から知っている従者だ。
無論、曽良よりも力は弱いハズ…なのに?
どうしてだ?
どうして、今の奴は強いのだ?
それに…奴はこんな軽率なことするほどバカでは無いはずなのに?
…曽良が考えを巡らせている間にも、鬼は彼の弟を襲おうとする。
「鬼男!」
ザクンッ!
グチャリ
ヤな音がした。
鬼男は咄嗟に爪を出し、鬼の片腕を切り裂いたのだ。
「…近寄るなよ…化け物…」
鬼男は鬼に向かって小さく呟いた。
その瞳には強い怒りが感じられる。
「鬼男。大丈夫ですか?」
曽良が声をかけると、さっき、鬼を傷つけたとは思えない笑顔で応えた。
「はい。大丈夫です」
曽良はそれを見てホッとしたが、まだ敵に囲まれていることを思い出した。
「どうします?此処で大人しく捕まります?それとも…」
曽良は自分の暗器を取り出して構えた。
「父上に怒られるのを承知で…殺りますか?」
鬼男をニィっと笑って兄に応えた。
「もちろん、後者で」
鬼男が爪を出し構えた時…。
「…嘘…だろ…?」
鬼男は爪を構えたまま呆然として声をあげた。
曽良もそれに驚き其方を見やる。そして、息を呑んだ。
先程、鬼男が切り裂いた鬼がまだ動いているのだ。
「あんなに、血がでているのに…なぜ?」
鬼男の言う通り、その鬼は大量の血を流しているのだ。
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