GUARDIAN of BLACK
□前夜祭
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夜零時丁度。
一人の男が路地裏を走っていた。
その表情は喜びで歪んでいた。
「やった…やった…」
その背後の空は赤く輝いている。
女の悲鳴
子供の泣き声
男の叫び
静かであった筈の夜の悲劇
その悲劇を起こしたのは、この男
そんな男の前にヒョロリとした青年が立ちふさがった。
「ここは、立ち入り禁止だよ」
飄々とした声音で男に告げる。
「なっ…なんなんだっ!お前はっ!ドカねぇと殺すぞっ!」
男は青年に凄んでみせたが、青年は恐がることはなく、ニヤリと笑っただけだった。
「ん〜?俺?俺は…黒の守護者の閻魔だよ」
「!黒の守護者だと!?」
男の表情は驚愕と恐怖で青ざめた。
当然だ。黒の守護者と言ったら裏社会の管理人であり、掟を破った者の始末屋なのだから…。
「beansの炎使い、黒山さんだね?」
閻魔はにっこりと笑いながら確認した。
「そ、それがどうしたっ!」
焦る男・黒山を閻魔は冷たい瞳で射抜いた。
「ここ連日の放火魔は君だよね」
その威圧に黒山は息を呑み込んだ。
「知っているハズだよね?《掟その1表の人間に危害を加えるな》って?君は一番破ってはいけない掟を破ったんだよ」
「…ちっ!…死ねっ!」
黒山は閻魔に向かって銃を向けた。
だが閻魔は楽しげに笑うだけだ…冷たい瞳で…
「ばっかだね〜死ぬのは…」
銃声が響く。
倒れたのは閻魔ではなく 黒山だった。
「貴方ですよ」
閻魔より若い青年の声が響いた。
「と、言っても聞こえないでしょうけれども」
青年は銃をパーカーのポケットにしまいながら、閻魔に近づいた。
「お疲れ様です。大王」
「うん。お疲れ、鬼男君。どうすんの?ハリスさんに連絡しに行く?」
鬼男と呼ばれた青年は首を振った。
「後で、携帯で連絡しますよ。…セクハラは止めてもらえませんか?それに、僕は黒の守護者以外の仕事で誰かと組む気は無いんで」
自分の体を抱き締める閻魔が何かを言う前に言った。
「さっすが!よくわかったね?やっぱり俺のファミリーに…」
「なりません」