GUARDIAN of BLACK

□第一夜
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真っ黒なパーカーに黒いジーパンという黒ずくめの姿でバイクにまたがった。

閻魔と別れてから15分程経過している。

エンジンをかけバイクを走らせる。
仕事の関係上、表街道は走らない。出来るだけ裏道を使いながら、鬼男は和風の居酒屋に到着した。
少々、中が騒がしい。

鬼男は中で起こっていることを予想し、ヘルメットを脱ぎながら大きな溜め息を吐いた。

「遅れてすみません」

遅刻したことを謝罪しながら居酒屋に入る。

「あっ。いらっしゃい、鬼男君。大丈夫だよ、閻魔さん達も来たばっかりだから」

にこやかな笑顔で店の店員ーヒュースケンが鬼男に声を掛けた。
鬼男はそれを聞き、顔をしかめた。

「来たばかりで、この騒ぎなんですか…?」

鬼男は周りを気にせず攻防戦を繰り広げている、二人の青年を呆れた瞳で見た。

一人は、先程会った閻魔。もう一人は水色のネクタイにスーツを着た黒髪に鋭い目つきの青年。

「曽良くんっ!今日は別の用事で来たんだから喧嘩はやめてっ!」

その青年ー曽良を緑色のネクタイにスーツを着た中年の男が必死に止めようとしている…効果は余りないようだが。

「閻魔っ!止めんかオマっ!」

「そうですよっ!いくら彼奴がムカつくからと言って、仕事前に喧嘩しないで下さいっ!」

スーツに青ネクタイの青年と赤ネクタイの青年が閻魔を止めようとしている。…やはり此方も効果は無いようだ。

五人とも鬼男に気付いていないようだ。

「ヒュースケンさん…あれ、止めた方が良いですか?」

鬼男はうんざりした顔で問い掛けた。

「うん。お願いできるかな?」

にこやかな笑顔のままヒュースケンは応えた。

「じゃ、遠慮なく」

鬼男は物凄いスピードで閻魔と曽良の間に割り込むと二人の喉付近にそれぞれナイフを浮かせた。

「止めてください。今は此処に集まっているのはHAEVENのボスとしてでも、元禄組の頭としてとでも無く、『黒の守護者』としての筈ですよ?」

二人はピタリと動きを止めた。
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