短編U

□○桜の下での誓い
1ページ/2ページ


「あっ、雲雀さんあそこ見てください!」

「どこを?」

「ほら、あそこですって!」

「もっと具体的に言ってよ」

「えっと……」

「…ごめん、何でもないよ。それで、手は届きそうかい?」

「…脚立があればギリギリ届く距離です」

「…」

雲雀からの返答はない。

しかし次の瞬間、綱吉の体がふわりと中に浮く。

「わっ…!」

思わず驚いた声を出してしまった。

が、よく見ると視界に広がる景色が先ほどよりも少し高い位置にある。

雲雀は綱吉を肩車していた。

「あ、あの…雲雀さん!?」

「これで手が届くと思うからね」

「確かに届きますが……って、重いから降ろして下さい!」

「重いわけない。気にしないで近くで見なよ」

「は、はい…」

雲雀の言葉の強さに負け、素直に返事をする綱吉。


綱吉は大きな木にまだ僅かしか咲いていない桜の花を1つ取り、掌に乗せた。

「雲雀さん、ありがとうございました。…降ろしてもらえますか?」

「もう良いのかい?」

「はい。雲雀さんのお陰で、より近くで見れました。ありがとうございます」

ニコッと微笑む綱吉に雲雀はそっとキスをする。

「ひ、雲雀さん?」

「驚きすぎだよ、綱吉。笑顔が可愛かったからつい…ね」

雲雀はいつになく機嫌が良いようで、綱吉に微笑む。
それを見た綱吉の頬は紅く染まる。

「あの、雲雀さん…。少し目を閉じてもらえますか?」

「…?」

雲雀は不思議そうな顔をしながらも、目を閉じる。

その雲雀の胸ポケットに綱吉はそっと桜の花を入れた。


     
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ