長編@

□★正午のひととき
1ページ/4ページ


『沢田綱吉。至急応接室に来るように。すぐに来ないと、咬み殺す』

「…?!」

4時間目の授業中、突然流れた校内放送。
綱吉はただただビックリし、なかなか言葉が出てこない。
というか状況把握が出来てない。

「沢田くん、応接室へ行きなさい」
「えっ、でもまだ授業中…」
「良いから、とにかく早く行きなさい」
「は…はい」
「10代目、俺も行きましょうか?!」
「大丈夫だよ」

大丈夫と言いながら、綱吉の顔にはこれっぽっちの余裕が見えない。
廊下に出る否や、ダッシュで応接室へ向かった。

(ヒバリさん、何の用だろう)

考えつつもダッシュした。
校内放送があった5分後、綱吉は応接室に着いた。

「コンコン。ヒバリさん、綱吉です」
「入って」
「…はい」

カチャとドアノブを回し、応接室の中へ。
中に入ると、ソファーに腰掛けこちらを見るヒバリがいた。

「5分…か。遅かったね」
「す、すみません」
「まぁ、今は機嫌が良いから噛み殺すのはやめてあげるよ」

そういう顔は、本当に機嫌が良いみたいで、いつもの鋭い眼力はない。

「綱吉、こっちにおいで」

そう言われ、綱吉はヒバリに向かって歩き出す。

「本当に来てくれるとは思わなかったよ」

そう言い、ヒバリは綱吉を自分の隣に座らせた。

「…ヒバリさんに呼ばれたから…」

チラリとヒバリを見る。
綱吉はヒバリよりも背が低いのもあり、自然と上目遣いになる。
もちろん、そんなこと本人は気付いてない。

「ワオ。どこでその誘い方覚えたんだい?」
「…?!」

綱吉はなんのことかわからず、キョトンとヒバリを見る。
そんな綱吉にヒバリはキスをした

(久しぶりだな、ヒバリさんのキス)

綱吉の気持ちに気付いたのか、ヒバリは先程より長いキスをした。
ヒバリとこのようなことをするようになってから、綱吉は先のことを考えることが多くなった。

(…ヒバリさんには言えない)

だがヒバリも同じことを考えていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ