kotka
□ネコ3
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文化祭、当日。
今年は映像部の仕事がフルで入っているため、クラスを回ったりは出来なさそうだ。
現に今も、体育館で行われている演技発表やらを舞台の下で撮影している。
撮った映像は後で編集して、顧問に提出しなくてはいけないため、気の抜けない作業だったりする。
ダンス部は女子が腹を出しながら踊り、演劇部では男女のラブロマンス、軽音楽部ではオリジナル曲の発表……。
質が低いわけではないのだが、どれも興味が無かった。
去年同様、部室の受付をやっていた方が楽だったかもしれない。
あーBLCDとか流れないかなー…。
『次は部活対抗、ベストカップルコンテストです』
お、仮装コンテストが始まった。
ベストカップル、なんてのは盛り上げるために作った名前であって、実際は手芸部が作った衣装を発表するためだけに存在している出し物だったりする。
ま、盛り上がってるからいいと思うんだけど。
女装とか男装も見れるし。
『エントリーナンバー一番、手芸部の部長、森山さんが衣装を制作した……』
舞台の袖から白い衣装を身にまとった男女が現れる。
茶髪のタキシードを着た新郎と、純白のドレスを着た新婦…。
舞台中央にゆっくりと、確かめるようにしながら進んで行く。
俺は二人を追いかけるようにカメラを動かした。
全身を映してから、顔へとズームしていったところで俺はあることに気がつく。
化粧もしているし、髪の毛も長いんだけど。
舞台で微笑んでいるのは、間違いなく三毛だった。