*黒と灰の聖歌*

□†five years†
2ページ/9ページ

神田が任務から帰る30分前、科学班の手伝いをしていたアレンにリーバーとコムイは大掃除をしたいと提案した。
大量の書類が散乱する部屋に、さすがのアレンも辟易していたところだった。
「やるからには徹底的に!!」と題されそうな勢いで部屋は片付けられていき、残るは薬品の入った箱と少量の書類のみとなっていた。
「コムイさん!!この箱ってどうするんですか!?」
「え?あぁ、薬品関係なら後ろの棚に直してくれるかい?」
そんなやり取りをしたあと、アレンは薬品のラベルが見える様に一本一本丁寧に棚へと収めていく。
最後の一本を手に取り、ラベルをサッと読むと《five years》とだけ走り書きのように記入されている。
『…何だろう?五年後って…。』
そう思いつつも、アレンが小瓶を棚の一番上に直そうとした時だった。

−ツルッ…バシャ!!−

「うわぁっ!?」
「「アレン(君)!?」」
水音と共に聞こえたアレンの焦ったような声に、コムイとジョニーが棚の方へと視線を向けた。
アレンが立っていた場所には水色の煙が立ち込め、ゴホゴホとアレンの咳が聞こえてきた。
「アレンっ!!無事!?」
「アレン君!大丈…夫か…ぃ?」
二人の焦った声に反応するかのように水色の煙は霧散し、あとに残ったアレンの姿に科学班の皆が固まった…。
肩に掛かるか掛からないかだった白銀の髪は背中まで伸び、背丈は変わらぬものの顔付きは女性らしさを増している。
更に、先程までワイシャツとベストで分かりづらかった胸さえ豊満なものへと変化していた…。
「なっ…何なんですか!!コレはぁぁぁっ!?」
自らの変わってしまった姿に絶叫し、アレンはそのまま神田の部屋へと引きこもってしまった…。


「…って訳なんです。」
へんにゃりとまるて萎れてしまった花のように落ち込んでいるアレンの隣に腰掛け、神田はその長くなった白銀の髪を撫で梳き始めた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ