*黒と灰の聖歌*

□SNOW DROP
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「ここだ…。」
「お邪魔します。」
開かれた部屋の扉を潜れば、部屋に立ち込める神田の香りに肩の力が抜けた。
真夜中の時間さすがにそろそろ就寝したほうが良いと考え、神田は部屋を一瞥しソファで寝ることを決めた。
「とりあえず、アレン…お前がベッド使え。」
「ぇ?…一緒に寝れば良いじゃないですか?」
ヒクリ…と神田の頬が引き攣る。
「テメェ…。同衾なんぞしたら抱いて下さいって、言ってるモンじゃねぇか。」
嫌だろ?と返せば、アレンはしどろもどろしだした。
「え、いや、その…か、神田ならぃいってっ!!」
「落ち着け。」
「神田なら、嫌じゃ無いんです。最初も、これからも、神田なら全部あげたいって…。」
神田は向けられた表情に、鼓動が高鳴るのを自覚した。

紅潮した頬。

上目遣いの瞳。

桜色の唇。

シャツから覗く首筋。

理性が強い神田でさえクラリ…とくる色香が、アレンから漂っていた。
「もぅ…どうなっても知らねぇからな?」
そう告げると同時に、神田はアレンをベッドへと押し倒した。

初めてはただ熱かった。

互いの肌が伝える熱と、幸福感が伴う痛み。

柔肌に印される愛された刻印が、チリ…っと甘い疼きを引き起こした。

「神田っ!!ぁっ、もぅ…ダメぇっ!!」
「アレンっ!!名前っ…くっ、呼べっ!!」
パン、パンっ!!と肌がぶつかる音に、羞恥心が煽られる。
それでも神田の願いを叶えたいと、アレンは快楽に呑まれながらも声を発した。
「…ュ…ウっ!!ユウっ!!アッ、ダメっ、もぉっ!!」
「アレン…はぁっ!イけよっ!!」
神田自身が今までよりも深く苦しい程に入り込めば、アレンは甘い悲鳴と共に絶頂へと登りつめた。



神田は後始末をし、アレンを寝かしつけると部屋の扉を開け廊下に居た人物を睨みつけた。
「…このゲス野郎…。」
「貴方の様な直情的な人物に、言われたくないですね。」
廊下に立っていた人物…リンク・ハワードは、神田を睨み返した。
「…アレンの受けてた事…黙認してた時点で、聖職者の風上にもおけねぇな。」
「アレン・ウォーカーが14番目か…、確かめる必要があったのでね。」
いちいち神田のカンに障る言い方ばかりする目の前の青年に、神田は六幻を突き付けた。
「…死にたいみてぇだな…。」
「中央に何と伝えても構わないなら切ればいい。…もっとも、アレン・ウォーカーへの風当たりが、厳しくなるだろうがな。」
卑怯を通り越し、卑劣な事を吐かすリンクに神田ニヤリと笑った。
「……テメェ、今日アレンから目を離したよな。」
「なっ!?脅すつもりか!?」
「先に脅したのはお前だろ?…アイツは俺のだ。」
神田のその言葉に反応してか、ギリッと歯を噛み締める音が聞こえる。
「アイツの信頼は、お前よりも持ち合わせてたみてぇだからな。これからコイツに何かあったら…テメェの首が飛ぶぜ?」
ニヤリ…と暗い笑みの後、神田は背を向け部屋へと消える。
「クソッ!!」
暗い廊下にガンッ!という、壁紙を殴った音がこだました…。
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