*黒と灰の聖歌*

□†five years†
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ねぇ、マナ…。
いつだったか僕に言ったよね?いつか僕にも『特別な男性』が現れるよ?って。
奇怪な左腕、男の子と同じ名前、あの頃は言葉遣いも悪かった…そんな僕にもいつかは『特別な男性』が現れるって言ってくれた…。
その頃の僕の『特別な男性』は…マナ貴方だったんだよ?
今でもそれは変わらない。
でもマナの『特別』と、彼の『特別』は全く違ったんだ…。
貴方は親愛と言う、親が子供に与えるモノを僕にくれたんだ。
楽しい時間。
幸せな時間。
僕に教えてくれた貴方…。
たとえその時間がたった五年の短いものでも、僕のただ一人の父さんは貴方だけだよ。

マナ…貴方を亡くしてから三年たった今…、僕は貴方の言ってくれた『特別な男性』を見つけたよ。
僕を愛して、一番近くに居させてくれて、背を預けてくれるたった一人の大切な人…神田ユウを。


 †five years†



神田ユウは目の前の状況に唖然とするほかなかった…。
場所は自室。
ベッドの上には愛おしい恋人…、アレン・ウォーカーがちょこんと座っている…。
座って居るのだが!!
自らの恋人は確か15歳の少女だったはずなのに、目の前の彼女は成長した女性の姿で神田を見つめていた。
「…どういう事だ?」
やっと口に出来た言葉は教団(ホーム)に帰ってきたら毎度彼女に伝えてきた帰還を告げる挨拶ではなく、疑問を晴らすための問い掛け…。
ピクリとアレンの肩が震え、少しだけ眉が下がった。
「実は…。」
神田が怒っていない事に安心したのか、アレンはポツリポツリと体が変化したときのことを話し出した…。
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