in 魔法の世界

□00章
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 それはよく晴れた日の夕方だった。


「あっつ〜」
「言わないでよ、レイ。余計に暑いじゃない」

 いくら太陽が低い位置に来ても今は夏。
 やっぱり暑かった。

「アイス〜、かき氷〜、シャーベット〜、牛乳〜」
「はいはい。食べたいならさっさと歩きなさい」

 どうしても暑いと動きがゆっくりとなる。
 レイはとぼとぼと冷たい物を呟きながらランを追って行く。

「ん? な〜ラン、あれ、なんだ〜?」

 後もう少しで寮、というところでレイが立ち止まった。

「レイ、さっさと帰る‥‥なに? 石? 変わった色ね」

 振り返ったランも足を止めた。

「これ、アリスストーン?」

 近くまで来て屈んで見る。
 と、それは小石程の大きな白と黒が混じった色をした石のような物だった。

「見たいね。でも、何でこんなところに?」

 普通、アリスストーンみたいな物は落とさない。
 しかも結構な大きさだ。
 落とせば気づくだろう。

「とりあえず、職員室にでも持って行くか?」
「この道を、また戻って?」
「‥‥いや、だね」

 木陰にいるのに汗をかく。
 ようやくここまで来たのに、職員室まで戻るのは提案したレイも嫌だった。

「しかたないわね。寮にでも届けましょう」
「だね。置いておくよりはマシでしょ」

 そう言ってレイが持ち上げようとした時だった。
 
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