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□神さまがいるのなら
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*現代パロ
*幼なじみ設定





「―――ユーリ!」

「……ん?」

部屋のベッドで寝転がっていたユーリは、廊下から自分の名前を呼ばれていることに気づき、身体を起こした。

パタパタと、足音が自分の部屋に近づいてくることが確認できる。


「お。エステルだな、この足音」


ユーリは頬を緩ませ、小さく呟いた。






恋人たちのイベントの1つでもあるクリスマスが過ぎ、大晦日も過ぎ、今日は元日。


幼なじみで恋人同士でもある2人は、学校が休みということもあり、最近は毎日のように会っていた。

家もすぐ近所ということで、エステルが訪ねてくるのは今に始まったことではない。

逆にユーリがエステルの家に行くこともある。

その時はエステルの部屋に窓から入り、よく本人に怒られる。

ユーリ曰く、「あの豪邸を律儀に歩いてたら、いつになってもエステルの所に行けない」から。

(―――ほんっとに広いからなぁ、あの家は……)

エステルはこの辺りで一番裕福な家庭の育ちだ。

我ながら“良くこんなお嬢様と付き合うことが出来たな”といつも思う。

(―――これも幼なじみの特権ってやつだな)

とはいえ、ユーリはエステルの家からはあまり良く思われていないのを知っている。

いつの時代も大きくは出さないだけで、身分の差と言うものはあるものだ。




コンコン


「はい、どーぞ」

「ユーリ!お参りに行きません!?」


どんなに急ぎの用事だったとしても、きちんとノックを忘れないエステルにはいつも感心する。



「……お参り?」

「はい!……あ、もしかしてもう、行っちゃい……ました?」

さっきまでとは逆に、エステルは寂しそうに言った。

しかしユーリは口端を上げて笑う。

「―――エステルがそう言うと思って、待ってたんだよ。ほら、行こうぜ」

「は……はい!!」

エステルは満面の笑みを浮かべ、少し前を歩くユーリの後をついていった。









「……っと。流石に混んでるな」

「人が沢山います……」

ユーリとエステルは神社に着くなり、あまりにも人が多いことに驚いていた。

神社前のバスから降りるなり、止まることも普通に歩くことも出来ず、ただ人の波に流されるしかなかった。

そんな中、エステルはユーリを見失わない様にと必死だった。

押されては止まって、流されて。

(……はぐれて、しまいます……っ!)

それなりに身長のあるユーリは多少のことなら進むことに問題はない様だが、エステルの身長では人混みに埋もれてしまう上に人に流されてしまう。


「……あっ、ユーリ……っ!」


はぐれる、と思った瞬間、エステルの手に温かい何かが触れた。


「―――ま、元日だからこんなもんだろーな。ほら、はぐれんなよ、エステル」

そう言って、エステルの手を握ったユーリは、比較的歩きやすい隙間を見つけてはエステルを境内へと導いた。

(ユーリ……)

エステルは優しく微笑んだ。

ずっとこの時間が終わらなければいいのに―――と。









「……ふぅ。やっと着いたか」

ようやく境内の近くまで来た2人は、長蛇の列の最後尾に並んで順番を待つ。

先はまだまだ長そうだ。





「―――そういえばユーリは今年、何をお願いするんです?」

ふと思い、エステルはユーリに訊ねる。

「ん?俺か?……そうだな。まだ考え中ってとこだな。そう言うエステルは、今年何をお願いするんだ?」

「私ですか?そうですね……。」

少し考え、エステルはチラリとユーリを見た。

するとユーリは、きょとんとした顔でエステルを見る。

「内緒、です!」

「ふーん?」

ユーリは視線を境内の方へ向けるなり、どうしよっかなーと呟いた。

―――だが、ユーリの腹の内は既に決まっていた。





「あ、見てくださいユーリ!もうすぐですよ!」

「ああ。じゃ、神さまとやらにお願いしに行きますか」

そう言って、2人は繋いでいた手を離すことなく、石段を登っていった。





自分たちの願いが少しでも叶うことを祈りながら。








(……こいつがいつまでも幸せでいられるように……頼むな)
(……ユーリといつまでも一緒にいられますように)


Fin
― ー ― ー ― ー ― ー ― ー
yggnagi様のからのリクエストで、お正月ネタを書かせて頂きました!

……ってΣお正月過ぎたじゃん!!!!

も……申し訳ないです;;

そして私の文章力が無いばかりに、現代パロにしてしまいました(汗

パロなんてリクエストしてねぇ!
……と思ったら更にすいません!!

こんなもので良かったら受け取ってくれるでしょうか……?←弱気

そ、それではリクエストありがとうございました!!



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