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□いてくれてありがとう
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side.Hikaru
誰かの温もりを感じる。
頭を撫でている。
目が覚めたら目の前に白い天井が見えた。
そして横を見ると、ユウジ先輩がおった。
「おっ!財前、目ぇ覚めたんかっ!」
なんや、謙也さんやないんか……。
ユウジ先輩には悪いけど、少し残念やった。
「なに倒れとんねんっ!心配したやんかっ!」
「……すんません。」
「や、やけに素直やんなぁ。気持ち悪っ」「うっさいっすわ。」
いつもどおりな先輩を見ていると、なんだかすごく落ち着いた。
「せや、財前。この前の話やけど……」
まだボーっとしている頭を無理矢理働かせながら、先輩の話を聞く。
だけど、聞いたはしから抜けていく。
ユウジ先輩、堪忍な。
「……って、聞いとんのかいなっ!」
まったく聞いてませんでした。
とは言えずに、曖昧に返す。
「だからなぁ、好きなんやろ?」
「好きやけど……」
「せやっ!『好きや、せやから……俺がプレゼントや……。だめ?』とかどやっ!」「先輩……、キモいっすわ。」
ご丁寧に俺の声真似付きで答えてきた先輩に呆れつつ話し合っていた。
がたんっ
何かが落ちる音がした。
廊下からや。
「なんや?」
2人で除いてみたけど、誰もおらんかった。
かわりに、プリントがたくさん落ちとった。
「あっ!これ、謙也のクラスの学級新聞やっ!」
謙也さんのクラスに行くと、ドアの前に部長がおった。
「部長……」
「おっ!財前、大丈夫なんか?」
「まぁ、平気っすわ。」
「そうか。そら良かったわ。で、どしたん?」
「これ……。」
「おっ!学級新聞やないか。なんで財前が持っとんのや?」
「落とし物っすわ。」
「なんでやねん。…………あっ!謙也やっ!」
遠くから謙也さんが歩いてきた。
いつもと雰囲気が違う気がした。