main

□君の髪に口付けて
1ページ/3ページ


春。
桜の蕾が花を咲かせようと、だんだんと大きくなり始めるこの季節。
いわゆる春休みという長期にしては短いとも言える休みに入る少し前の話。


「……でな、そのバンドのライブがな明後日あんのやっ!俺の誕生日にやでっ!なんちゅうサプライズやっちゅー話やっ!」
「あー、はいはい。わかったわ。その話何回聞いたと思っとんねん!」
「ええやないかぁ。なぁ、白石?」
「……なんで俺に振るんや。」
「あぁ、むっちゃ楽しみやー!」
「そいえば謙也、財前から何か誘われとらんの?」
「ん?何がや?」
「おまえの誕生日の話や!付きおうとるんやろ?」
「せやなぁ……。何も言われてへんわ。」「あ……、そか。なんかすまんな。」
「大丈夫やで。ほな、俺帰るわ。」
「またなぁ。」
「気を付けてなー。」

さっきまで騒がしかった教室は、ユウジの何気ない一言でシンと静まり返った。

「なぁ、白石ぃ……。俺、地雷踏んだんかなぁ……。」
「……なんとも言えへんわ。」


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ