宝物
□ハロウィンの奇跡
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あまりの楽しさに、すっかり飲み過ぎてしまったかもしれない。
「大丈夫か?ツナ。」
「ん……ちょっと、トイレ。」
足元がふらついて真っ直ぐ進めない俺を山本が支えてくれ、パーティー会場を後にした。
廊下に出ると、ヒンヤリとした空気が火照った身体に当たり気持ちがいい。
ふと顔をあげると、傍らの窓が開かれていた。
近くにあったトイレで用を済ませ、山本と共にトイレを出るとそこには一人の男性が立っていた。
「具合は、大丈夫ですか?」
「え?あ、はい。」
「今宵は、存分にお楽しみくださいね。」
優雅にお辞儀をする男性に慌ててお辞儀する。
誰だったっけ?
一生懸命記憶を辿っていたその時、突然辺りが真っ暗になった。
「なっ!停電!?」
慌てて手探りで山本を探せば、何やらゴツい何かを掴んだ。
瞬間付いた明かり。
「はぁ…怖かったね、やまも…。」
掴んでいま山本を見上げた瞬間、思わず目を見開いた。
「ぅぎゃぁぁぁぁぁ!」
それは山本ではなく、俗にいうフランケンシュタインだったのだ。
俺は無我夢中で廊下を走り、入り口まで戻った。
扉に手を掛け取っ手をガチャガチャ動かすがビクともしない。
「な、なんで!?」
ガチャガチャと金属音が響くなか、突如背中にゾクリとした感触が走った。
恐々振り返れば、二階に白い人影を見付けた。
あれは…ウェディングドレス?
「あ、ねぇ君!待って!!」
何故か分からないが、あの人なら山本の行方を知っているかもしれない。
そんな気がした。
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