宝物

□ハロウィンの奇跡
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「や、山本!本当に此所なの?」



目の前に聳え立つ古びた洋館。



長い事この町に暮らしているがこんな建物があるなんて全く知らなかった。



「おう!先輩達も先に行ってるって言ってたし、大丈夫だって!」



そう言って洋館の扉に手を掛けた親友を尻目に上を見上げた。



立派というか、不気味というか…その時、二階にある窓に白い人影が過った。



「やややや、山本!な、なんかいる!!」



「ん?先輩達だろ?ほら、ツナ行こうぜ!」



一人になるのが怖くて、山本の袖を掴み中へと足を踏み入れた。



今日はハロウィン。



町は賑やかに飾り付けられている。



俺達も何かやろうと言い出したのは確か山本だった。



どうせならいつもしない事をしようと言い出したのは誰だったか。



そして、その誰かが見付けたパーティー会場が此所だった。



話によれば、今は廃墟になっているらしいのだが…。



中を見渡せば、まるで今でも誰かが住んでいるかの様に綺麗に掃除されていた。



「…ねぇ、山本…やっぱり此所可笑しいよ…。」



「そうか?雰囲気は出てるよな!」



そう言って奥へと進んでいく山本を慌てて追い掛けた。



廊下の最奥の扉を開けば、そこはパーティー会場になっていた。



「二人とも!極限遅いではないか!」



すいませんと謝る山本に吊られ軽く頭を下げ、進められるままに食事に手をつけた。



それから暫く、皆で騒いで飲んで楽しい時間を過ごした。



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