宝物

□それは神の悪戯
1ページ/8ページ




「俺は、恭弥が好きだ。」



珍しく一人で来た金髪の自称家庭教師は開口一番そう告げた。



「だから?生憎、僕は貴方が嫌いだ。」



「そういうと思ったぜ。ただ、俺の気持ち知っておいて欲しくてな。」



「なら、今すぐ帰りなよ。」



自慢じゃないが、僕には可愛い恋人がいる。



全然なつかなくて直ぐに威嚇してくるけど、実は寂しがり屋で甘えたなそんな所が愛しくてしょうがない。



今も屋上で僕が来るのを待っている筈。



そんな彼を待たせる訳にはいかないと、立ち上がり男の横を通り過ぎた瞬間。



「うわっ!」



「っ!」



何故そんな所で転ぶのかとか、巻き込まないで欲しいとか、今はそんなのどうでもいい。



確かに触れた。



彼の唇が、僕の唇に。



唖然と目を見開いていると、ドア口で物音がした。



ふと見上げるとそこにいたのは。



信じられないといった表情で立ち尽くす僕の恋人、獄寺隼人だった。



「ぁ…わりぃ、俺!」



「隼人!」



君は何も悪くない。



走り去る彼を追い掛ける為、上に覆い被さっていた物体を避け走り出した。



.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ