宝物
□それは神の悪戯
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「俺は、恭弥が好きだ。」
珍しく一人で来た金髪の自称家庭教師は開口一番そう告げた。
「だから?生憎、僕は貴方が嫌いだ。」
「そういうと思ったぜ。ただ、俺の気持ち知っておいて欲しくてな。」
「なら、今すぐ帰りなよ。」
自慢じゃないが、僕には可愛い恋人がいる。
全然なつかなくて直ぐに威嚇してくるけど、実は寂しがり屋で甘えたなそんな所が愛しくてしょうがない。
今も屋上で僕が来るのを待っている筈。
そんな彼を待たせる訳にはいかないと、立ち上がり男の横を通り過ぎた瞬間。
「うわっ!」
「っ!」
何故そんな所で転ぶのかとか、巻き込まないで欲しいとか、今はそんなのどうでもいい。
確かに触れた。
彼の唇が、僕の唇に。
唖然と目を見開いていると、ドア口で物音がした。
ふと見上げるとそこにいたのは。
信じられないといった表情で立ち尽くす僕の恋人、獄寺隼人だった。
「ぁ…わりぃ、俺!」
「隼人!」
君は何も悪くない。
走り去る彼を追い掛ける為、上に覆い被さっていた物体を避け走り出した。
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