◆clap serial
□時間回路
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現在、過去、そして未来も…私はあなただけを……
−時間回路−
「お疲れ様でした、代表」
「ああ」
社交辞令な会話を交わすと、アスランは敬礼をし踵を返した。
「では、私はこれで失礼致します」
「ああ、お疲れ様……ザラ准将」
カガリがそう言い終えると、アスランは静かに扉の向こうへ消えていく。
いつからだろう、こんな会話しか繰り広げられなくなったのは……。
「……アスラン」
一体いつから、彼の名前を呼んでいないのだろうか……。
このまま何もなかったかのように日々を過ごしていくのだろうか……。
2度目の大戦で、アスランがザフトから逃走したとき…、あの時一緒にいた女の子のことを、彼は……
「好き……なのかな…」
カガリの中で急に苦しさと悲しみが込み上げ、胸を押さえながら近くのソファーに倒れ込んだ。
「……アスラン、アスラン、アスラン…」
彼の名前を呼びながら、カガリはいつの間にか夢の中へと落ちていった。
ピピピピ……―――
「ん……、あれ、わたし」
気が付くと、そこはベットの上だった。
(たしか昨日は首長室のソファーで、寝てしまってたような……?)
カガリは寝ぼけた頭で考えながら、周りを見渡す。
今いる部屋はこじんまりした大きさで、全体的にオレンジ色が多く使われた。
クマのぬいぐるみなども飾られていて、カガリには全く見覚えがない場所だった。
(どこ…だ?ここ……?)
カガリが必死に考えていると、扉の向こうから階段を上る足音が聞こえてきた。
カガリは心拍数を上げながら、ベットの上で固まっていると、ふいに足音が部屋の前で止まる。
ドクン……――
カガリはベットのシーツをぎゅっと握りしめ、息を殺す。
すると、ふいに扉を叩く音が聞こえてきた。
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