◆clap serial

時間回路
1ページ/25ページ





現在、過去、そして未来も…私はあなただけを……










−時間回路−









「お疲れ様でした、代表」






「ああ」






社交辞令な会話を交わすと、アスランは敬礼をし踵を返した。






「では、私はこれで失礼致します」






「ああ、お疲れ様……ザラ准将」






カガリがそう言い終えると、アスランは静かに扉の向こうへ消えていく。





いつからだろう、こんな会話しか繰り広げられなくなったのは……。






「……アスラン」






一体いつから、彼の名前を呼んでいないのだろうか……。



このまま何もなかったかのように日々を過ごしていくのだろうか……。





2度目の大戦で、アスランがザフトから逃走したとき…、あの時一緒にいた女の子のことを、彼は……






「好き……なのかな…」






カガリの中で急に苦しさと悲しみが込み上げ、胸を押さえながら近くのソファーに倒れ込んだ。






「……アスラン、アスラン、アスラン…」






彼の名前を呼びながら、カガリはいつの間にか夢の中へと落ちていった。









ピピピピ……―――








「ん……、あれ、わたし」






気が付くと、そこはベットの上だった。






(たしか昨日は首長室のソファーで、寝てしまってたような……?)






カガリは寝ぼけた頭で考えながら、周りを見渡す。



今いる部屋はこじんまりした大きさで、全体的にオレンジ色が多く使われた。



クマのぬいぐるみなども飾られていて、カガリには全く見覚えがない場所だった。






(どこ…だ?ここ……?)






カガリが必死に考えていると、扉の向こうから階段を上る足音が聞こえてきた。



カガリは心拍数を上げながら、ベットの上で固まっていると、ふいに足音が部屋の前で止まる。








ドクン……――








カガリはベットのシーツをぎゅっと握りしめ、息を殺す。




すると、ふいに扉を叩く音が聞こえてきた。





次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]