観察記録
□海外旅行
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昔私が専門学校に通っていた頃。
私は学校主催の修学旅行に参加していた。
任意であったことと50万と言う高額のため、私の学科からは5人(6人だったが1人ドタキャン)だけだった。
全学科あわせて20人弱、内5人はツーリストと教官。
初の海外旅行。楽しそうな海外旅行。しかし、この旅行なかなかハードだったのだ。
12月の後半1番寒い中イタリア、フランス全日程10日間。
往復の飛行機で24時間かかる(時差の関係で日にちは経過しないが)。
前年まで6日間だったのに実験的に我々の年だけ60%増量中。
しかも旅行の4日前に学校の終業式。
それから2日後出発の2日前には運営が我々漫画学科だけの学校主催で同人即売会の管理があった。
1日のみの小型のコミケだ。この時点でもうしんどい。
1日目6時半に地元の空港に集合。
親の運転する車に送られ空港に到着。
私が車を降りると、見慣れた男が1人送迎バスから降りてきた。
黒いジャンパー、黒いジーンズ、黒いキャップ、顔色は悪く細身、眼つきも悪く眼鏡を着用、下手すると警察に通報されかねない出で立ちだ。
こいつが10日間私の相棒殿だ。
行く前から気が滅入ってくる。(2人並ぶと犯罪者の頭脳派と武道派のコンビに見える)。
なにはともあれ、とりあえず出発。
地元から国際便が出ていない為、とりあえず関西国際空港(以後関空)に向かう。
飛行機で関空近くの空港に降りる。
そこから1時間ほどかけて関空に向かう。
関空にさえ便が出ていないことに、ほとほと田舎都市に住んでいる事を実感。
空港では30分ほど待って手続き荷物の搬入。
私は金属探知機に引っかかり、手持ちの感知機で探られる。
相棒も以下同文。心なしか相棒の方が念入に探られる。
飛行機の機内。機内は左右の窓際に座席が2列づつ中央に3列の座席がある。
私は中央3列の真ん中の席。無論外は見えないしフライトアテンダントからも遠く暑苦しい1番辛い席だ。
左に相棒が座る。
座席まで隣・・・。知らない人ばかりなので少し安心。
飛行機離陸この瞬間が1番好きと言う方もいるだろうが高所恐怖症の私は涙が出るくらい嫌いだ。(落涙)
飛行機離陸から1時間。
真ん中の席で外を見られないので、隣の相棒と軽く漫画の話。(二人共漫画科)ノートを広げ、打合せをする。
筆箱を開けた相棒から爆弾発言
「危険物もちこんじゃった」と。
相棒の筆箱の中にはカッターナイフ2本。コンパス1本。が平然と入っていた。
我々漫画科の生徒にはこの二つは必需品、普通に携帯している。
そりゃぁ空港で引っかかるわ!それにしても空港の手荷物検査は何のためものなのか。
ちゃんと調べろよ得にこの犯罪者顔はよう!
相棒の筆箱は箱型ではなく、100円均一などにある網の筆箱。
肉眼で中身が確認できる。
こんなに簡単に凶器持ち込めていいのか!
没収されても嫌なのでそのまま筆箱にナイナイ。(こんな所で暗い秘密が出来てもな・・・)
3時間経過、相棒はハイジャックも起こさず横で眠っている。
ほかも大半が仮眠を取っているようだ。私は右側後方の誰かの化粧が臭く、眠れない。寝酒を貰ったが眠れない。
結局1睡もできないまま朝の機内食が配られ始める。
その道の通に言わせるとこの会社の機内食が1番美味しいらしい。
が味はそこそこ。200ccの白ワインを貰う。
相棒は目覚めが悪いとミルクを貰おうとするが目の前で無くなる。機内に凶器を持ち込んだ天罰か?
機内に缶詰になって既に8時間。備え付けの映画は全て見てしまう。ゲームもやる気がしない。
とりあえず上空の気温と飛行機のカメラからの地上の様子をみている。
ついに化粧臭さが頭に回り酔いになる。気持ちが悪い。
10時間弱。気持ち悪さが限界に達する。化粧臭い、化粧臭いとブツブツ呟き出す。
何かが切れたらしい。
相棒がオロオロする。
11時間予定が風の関係で予定より早くイギリスの空港に到着。
機内から出られると喜ぶが、空港の関係で上空旋回。
旋回を身体に感じ余計に吐き気が増す。しかもベルト着用のサインがでておりトイレにも行けない。(どうしてくれようか・・・)
10分ほど旋回後ようやく着陸。
この時車輪の具合か機長の腕が悪いのか?地震の様な揺れと凄まじい音がした。一瞬落ちたと思った。グッタリしていたため、特にリアクションはしない。
が、ネタ人生にうんざり。
空港到着。飛行機から降りてバスに乗る。揺れる物にはもううんざり。
空港でパスポートを提示。軽い質問だけですぐ通過。
他の国の人たちが多少長く質問を受けているのを見ると日本のパスポートの偉大さがわかる。
詰問された所で言葉は、びた1解からんがな!
空港の出口付近で後列を待つ。
時間帯なのか、だだっ広い空港にほとんど人の姿は無いし(多分)店も全部閉まっている。
酔いが少し覚めてきた。ちなみに初の外国で初めて行ったのはトイレに駆け込むことだった。(だからネタ人生はいらん!神様普通の人生くれインドア派になるぞ!)
外に出ると待たしていたバスに乗り込む。そこでツーリストが時差の調整をしましょうと皆時計をいじる。
随分遠くに来た物だと思いながら、時計類を持っていない私はいじるふりだけをした。
暫くバスに乗ってローマに向かう。そうまだ目的地のイタリアにさえ着いていないのだ。