紫の砂

□儚き君の手を掴む
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静まり返った格納庫。

其処を静かに、メタリックグリーンに黄色があしらわれた機械鳥が飛んでいた。

機械で出来たとは思えない程の動きを見せるそれは、ストライクの足元に膝を抱えている影の肩へと降り立った。

茶色の髪、床を見つめるのはアメジスト。
光の加減で紫紺にも見える瞳を持つ彼以外に人の気配がないのは、ブリッジに詰めているか、休息を取っているのだろう。

スカイグラスパーとストライクの整備も終わりアークエンジェルに修理箇所も無い為に整備班もいない。

『トリィ?』

肩に止まった機械鳥が少年の顔を見て初めて鳴いた。

「トリィ…ありがとう……大丈夫だから……」

そう言った少年━キラの声に覇気はない。

力無く零した笑みは直ぐに掻き消え、元の無表情に戻る。


 
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